第10話 スタンピード
目が覚めると、街中モンスターだらけになっていた。
シエルとファルナさんも、服を着替えて外に出てくる。
「ウルト、大変なことになってるね……。ここは私たちでなんとかしましょう……!」
「ああ、もちろんだ。ファルナさんは下がって……!」
俺たちは剣を抜いた。
目についた敵から、ばったばったとなぎ倒していく!
ゴブリンやオークくらいなら、余裕だ。
しかし倒しても倒しても、きりがない。
いったいこのモンスターたちは、どこからやってきているんだ……!
「ぎゃあああああ!」
「ぐわあああああ!」
そんな悲鳴がきこえて、行ってみると、そこでは下級冒険者たちがモンスターにやられていた。
冒険者たちは、街の緊急事態に、みんな戦っているみたいだけど、やはり敵が多すぎるようで、みんな苦戦を強いられていた。
とくに下級冒険者は、次々にやられ、倒れていく。
くそ……このままじゃ。
さすがにこれだけの量のモンスターから、街を守るのは俺だけじゃ無理だぞ……。
なんとか他の冒険者たちの協力も得ないと。
俺は、なんとか状況を打開しようと、ガチャを引くことにした。
とりあえずガチャを引くあいだ、コハクにモンスターを任せる。
金に糸目をつけないなら、UR装備を出しまくって、冒険者たちに配ることもできるけど……。
だけど、さすがにガチャは一回100万Gもする。
かなり金がたまってきているとはいっても、そう何度も引けるわけじゃない。
なんとか一発で、有用なURが出ればいいけれど……。
これまでのところ、状況に合わせて、俺の役に立つURが出てくれている。
今回もそうであることを願って、俺はガチャを引いた。
《スプラッシュ回復ポーション
レア度 UR★★★★★★★★
回復 範囲回復5000
説明 指定した範囲に、回復ポーションの雨を降らせる
「おおお……! これは……!」
これなら、傷ついた下級冒険者たちを、一斉に癒すことができる!
俺はさっそくスプラッシュ回復ポーションを使用した。
空中に向けてスプラッシュ回復ポーションを投げると、空中で爆発。
そしてポーションの雨が降り注いだ。
倒れていた下級冒険者たちの身体にポーションがふりかかり、みんな復活する。
「なんだ……? 傷が……癒えていく……!」
「力が、湧いてきた!」
「うおおおおおおお! もう一度!」
みんな、このフィルフィラメントの街を守るために、必死で立ち上がる。
俺もまけじと、目の前のモンスターを倒す!
しばらくそうやって戦っていると、俺たちの横を颯爽と駆け抜けていく一人の冒険者がいた。
彼女は、一人で果敢にも巨大なべへモスに立ち向かっていく。
しかし――。
「グオオオオオオオオオオオオ!!!!」
「きゃああああああ!!!!」
当然のごとく、彼女一人の力では、巨大なべへモスにはかなわない。
その女冒険者は、吹き飛ばされてしまった。
腕を大きく損傷しているようだ。
内臓もつぶれて、今にも死にかかっている。
俺は急いで戦線を離脱し、彼女の元へ駆け寄る。
「おい、君! 大丈夫か……!?」
「っく……もう終わりか……」
その少女は、俺たちと同じくらいの年齢の冒険者だった。
胸は控えめで、黄色いイメージカラーの鎧に、ポニーテイルの髪型。
目はきりっとしていて、かわいらしい。
少女は血を吐きながら、今にも死にそうな声で言った。
「お願い……あのべへモスを倒して、この街を救って……。この街には、私の両親がいるの……」
なるほど、そういうことか。
この少女は、自分の家族を守るために、自らの命を顧みずに、べへモスにひとりで果敢にも挑んでいったというわけか。
べへモスは、あまりにも大きく、とてもじゃないがかないっこないように思えた。
そのため、多くの冒険者はオークやゴブリンの相手はしても、べへモスにはびびって攻撃できずにいたのだ。
それを、この少女はひとりで……。
「待て、死ぬな。生き残って、自分の力で両親を守るんだ!」
俺は、ガチャを引いた。
《エリクサー》
レア度 UR★★★★★★★★★★
効果 HP全回復、けが全治療、その他。
説明 あらゆる状態を治す万能治療薬。
すると、ちょうどいいことにエリクサーが出た。
やはり、俺のガチャは俺にとって都合がいいようだ。
俺はエリクサーを、その少女に飲ませた。
======================
《大事なお願い!》
お読みいただき、ありがとうございました!
少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、
『ブックマーク』と【☆☆☆】を【★★★】にしていただけると幸いです!
評価ボタンは、モチベーションに繋がりますので、何卒応援よろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます