第9話 ハーレム♡


「それから、さらにこんなものもあるんですけど……」

「えぇ……!?」


 俺は受付嬢さんに、フラワーデーモンの戦利品を手渡した。

 フラワーデーモンの頭に咲いている、悪魔華という花だ。

 クエストの途中で討伐したモンスターだから、ギルドへの報告はしておかなくちゃだろう。


「こ、これはフラワーデーモンの悪魔華ですか……!? そんなモンスターに襲われて、よく無事でしたね……さすがはウルトさんです」

「これも、買い取ってもらえますか?」

「ええもちろん、これは50万Gほどになりますね」

「おお、そんなに……!」


 これで晴れて俺たちはクエスト完了となった。

 ギルドカードに、クエスト完了のスタンプを押してもらう。

 こうやってしばらくクエストをこなしていれば、そのうち念願のSランク冒険者にもなれるだろう。


「それにしても、本当にウルトさんはすごいですね」

「いやぁ、そうでもないですよ……あはは」

「あのぉ、もしよかったら、このあとお食事でもどうですか?」

「え……?」


 受付嬢さんは、そう言って胸元を強調して前かがみになる。

 そして俺のことを潤んだ目で、上目遣いで見てくるのだ。


「ちょ、ちょっと待って! ウルトは私の恋人よ!」


 後ろから、そう口を挟んだのはシエルだ。

 シエルは受付嬢さんのことをキッとにらむ。

 しかし受付嬢のファルナさんも負けていない。


「あら? でも恋人が一人しかダメなんて法律はどこにもありませんよ? それに、ウルトさんほどの人なら、今後も引く手あまたでしょう。なにも一人に決めなくてもいいんじゃないですか? 私は三人でハーレムするのもかまいませんけど。駄目ですか……?」

「うう……そ、それは……」


 俺はどうしていいかわからなくなる。

 たしかに、世の中の有名冒険者は何人もの女性を囲っているが……。

 すると、シエルが言った。


「いいでしょう。別に私もあなたに負ける気はありませんから、三人で食事にいきましょう? あなたは好きにウルトを口説けばいいわ。これは女同士の真剣勝負です!」

「こちらこそ、望むところです! 負けませんからね!」


 シエルとファルナさんはバチバチに火花を飛ばしあった。

 なぜだか、三人で食事にいくことになってしまったようだ……。

 まあ、この国じゃこういうのは珍しくない。

 結構女性が積極的なんだ。

 複数人で関係を持つのは別におかしなことじゃないし、ハーレムってのはけっこう一般的だ。

 俺は流されるままに二人の女性に挟まれて、連行されるのだった。




 ◇



 ファルナさんの仕事が終わり、俺たちは一緒に料理店に行くことになった。

 みんなそれぞれに豪奢な服に着替えて、ちょっといいところのお店にいく。

 お金はいくらでもあるから、ちょっと奮発した。

 シエルとファルナさんというとても素敵な女性が、こうして俺にアプローチしてくれているんだから、俺も全力でこたえたい。


 高級料理店で、俺たちはしばらく食事を楽しんだ。

 そしてそのあとは――。


「ねえ、ウルトさん。ウルトさんのホテルに行きましょう? 私、少し酔っ払いすぎたかもしれません……」


 ファルナさんはそういって、俺に腕をからませてくる。

 大胆だなぁ……。

 ファルナさんの胸はうでから零れ落ちそうなほど大きく、俺の腕にむぎゅーと押し付けられている。

 すると、反対側の腕にも、なにやら柔らかい感触が……。


「ねえ、ウルト。私も、ちょっと疲れちゃったみたい……」


 シエルも反対側の腕に、胸を押し付けてくる。

 これじゃあ、両手に華だ。

 俺はふたりを連れて、ホテルに戻る。


 そして、二人をベッドに押し倒し、服を乱暴にはぎとった。


「あん♡」「きゃ♡」


「二人とも、俺を誘惑しやがって……! もう我慢できない……! 容赦はしないからな……!」


「ウルトさん……きてください♡」「ウルト……来て……♡」


 二人とも潤んだ目で、俺を見つめてくる。

 俺はもう脳みそが焼ききれて、理性が吹っ飛びそうだった。

 俺は欲望のままに、両手で4つのおっぱいを揉みしだいた。


 今夜は、寝かせない。



 ◇



 朝、くたくたになって目を覚ます。


「はぁ……はぁ……昨日はちょっとやりすぎた……」


 いてて、と腰をさすりながら、俺は体を起こす。

 すると、とたんに頭の中に轟音が鳴り響く。


「なんだ……?」


 二日酔いか?

 と思うが、どうも違うらしい。

 大きな音は、俺の頭の中からではなく、外から聴こえているみたいだった。


 ――ドシーン!

 ――ドシーン!

 ――ドドドドドドドドド!!!!

 ――ゴオオオオオオオオオオオオオオ!!!!


 そんな騒音が、外から聴こえてきていて、騒がしい。


「きゃああああああああああああ!!!!」


 人の悲鳴のようなものもきこえる。

 あまりの音に、シエルとファルナさんも眼を覚ました。

 二人は裸のまま、ゆっくりと起き上がる。


「うーん? なんなの? 騒がしいけど……」

「ちょっと、見てくる……!」


 俺は急いで服を着ると、外へ出た。

 すると、そこには地獄絵図が広がっていた。


「ぎゃあああああああああ!!!!」

「グオオオオオオオオオオオオ!!!!」


 なんと、街の中にモンスターたちが入ってきていたのだ。

 街のおじさんが、モンスターに襲われている。

 ゴブリンやオークが、街の中まで入り込んできている。

 それだけじゃなかった。

 上を見上げると、巨大なべへモスが街を踏みつぶしていた。


「これは……スタンピード……!?」


 俺は、ゆっくりと剣を抜いた。



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