第8話 植物の触手


 俺たちが薬草を採取しようとしたそのときだった。

 突然、地面が盛り上がって、なにかが現れた。

 それは、なにかの植物だった。

 植物の触手が、地面から生えてきて、俺たちに襲い掛かる……!


「な、なんだこれ……!?」


 どうやら地面に、フラワーデーモンが隠れていたみたいだ。

 フラワーデーモンというのは、こうやって地面に隠れて擬態している、植物型のモンスターだ。


「ギュオオオオオオ……!!!!」

「シエル……!?」


 すると、フラワーデーモンの触手にシエルがつかまってしまう。


「きゃああああ! いやああああ!」


 シエルは触手につかまって、衣服がはだけて大変なことになっている。

 直視できない状況だ。

 くそ……。


「主、我が動きを止める! そこを叩け!」

「よし……!」


 コハクがとっさに、フラワーデーモンに噛みつく!

 ナイスだ!

 フラワーデーモンは、触手で絡めとった獲物を、地面に引きずりこんで殺すという習性がある生き物だ。

 コハクが噛みついて動きをとめたことで、シエルの命が助かった。

 コハクに噛みつかれて蠢いているフラワーデーモンに、俺は斬ってかかる。

 氷結剣ストロングがフラワーデーモンに炸裂!


 ――キン!!!!


 俺の剣があたった触手が、一瞬でキンキンに凍った。

 そしてそこを再び斬りつけると、氷が割れ、触手を破壊!

 シエルを触手から解放することができた。


「ふぅ……大丈夫か、シエル!」

「うん、なんとか! ありがとうウルト!」


 地面に着地したシエルは、乱れた衣服を正す。

 そして、シエルも剣を抜いた。

 

「よくも私の服を脱がしてくれたわね……! くらええええええ!!!!」


 今度はシエルの攻撃だ。

 紅蓮剣ドラグリオが、火を吹く!

 シエルの剣がフラワーデーモンに当たると、その部分から火傷の延焼が広がった。

 紅蓮剣ドラグリオのUR効果だ。

 UR武器には、いろいろな特殊効果が設定されている。


 ――ゴオオオオオオオオオオオオオオ!!!!


 フラワーデーモンの植物の身体は、当然、火に弱い。

 あっというまにフラワーデーモンの全身にやけどがまわり、フラワーデーモンはその場に倒れた。


「やった……!」


 俺とシエルはハイタッチ。

 みごと、フラワーデーモンを退けたのであった。

 


 ◇


 

 フラワーデーモンを倒した俺たちは、上級薬草を100個ほどとって、それで冒険者ギルドに帰還する。

 コハクの背中にのれば、ひとっとびだ。


「あのーすみません」


 俺は受付嬢さんに話しかける。

 すると、受付嬢さんは驚いた顔で俺を見た。


「あ、ウルトさん。どうしましたか……? もしかして、クエストの場所がわからなかったとか……?」

「あ、いえ。クエスト完了したのでその報告に……」

「え……?」

「え……?」


 俺は袋の中から、上級薬草100個を取り出した。


「ちょっと多めにとってきてしまいました」

「あのー待ってください。さっき出て行ったばかりですよね? もうこんなに上級薬草を集めてきたんですか……!?」

「なにかおかしかったでしょうか……?」

「い、いえ……もうなにも突っ込みません……。普通、このクエストはもっと数週間かかる設定で期限が決められていたんですけどね……。ウルトさん、さすがはUR装備の規格外な冒険者ですね……」


 あらら……どうやら俺はすこしやりすぎてしまったみたいだ。


「し、しかも50個じゃなく、100個もとってきてるじゃないですか! すごすぎますよ……! これ、全部いただいていいんですか?」

「ええ、まあ。あ、ついでにこんなのもありますけど、これも追加報酬になりますか?」


 俺はポケットの中から、追加で神秘の薬草も取り出した。

 ガチャで出たはいいものの、使い道がないからな。

 ギルドが薬草で困っているというのなら、これもなにかの役に立つだろう。


「……って、こ、これは……! 神秘の薬草じゃないですか……! ど、どこでこれを……」

「まあ、俺のガチャで……って、ゲフンゲフン。なんでもないです。ちょっとね、上級薬草をとるついでに、手に入れたものです」

「これは……すごいことですよ!? 追加報酬として、ギルドから300万Gほどお支払いしますね」

「おお、そんなに……」


 ということで、俺は今回のクエストでかなりの大金を手に入れた。

 ギルド側も、慢性的な薬草不足が解消されて、お互いに利益になった。



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《大事なお願い!》


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