第6話 百発百中!


「ガチャ発動……!」


 武器をスライムの奪われた俺は、その場で新しくガチャを引くことにした。

 コハクがスライムを引き付けてくれている今のうちに、新しい武器を手に入れる……!



《氷結剣ストロング》

レア度 UR★★★★★★★★★★

攻撃力 +650

説明 攻撃した敵を氷漬けにする特殊な武器。



「おおお……! これなら……!」


 何度かガチャを引くことは覚悟していたが、いきなりいい感じの武器が出たな。

 俺はさっそくそれを装備し、スライムに斬ってかかる。


「うおおおおおおおお! ペンダントを返せ!」


 ――キィン!!!!

 ――バリィン!!!!


 俺の攻撃が当たると、その当たった個所から徐々にスライムは凍り付いた。

 そして凍ったスライムは、バラバラに砕け散った。


「よっしゃあ!!!!」

「すごい! さすがはウルト!」


 俺はシエルとハイタッチ。

 スライムは粉々に割れ、中身が吐き出される。

 どうやら中身は凍っていないで、無事なようだ。

 ペンダントの他にもいろいろ飲み込んでいたようで、けっこうなお宝が吐き出される。

 俺たちはさっそくその中からペンダントを探した。


「あった……!」

「おお、よかった」

「とっても大事なものなの。取り返せてよかった。ウルト、本当にありがとう」

「いいってことだ。取り返せてなによりだ」

「実は、ほら……妹の写真が入ってるの」

「おお、妹さんか。実家にいるのか……?」

「うん……まあ、ね」


 シエルは一瞬暗い顔をした。それがどういう意味か、俺にはわからなかった。

 ペンダントの他にも、俺がさっき飲み込まれた破邪の剣もあった。

 他には、いろんなSRやRのお宝があった。


「おお、これを売ればまたガチャが引けるな……!」


 俺はすっかりガチャの虜だった。


「ねえウルト、さっきからそのガチャってなんなの……?」

「ああ、俺はUR確定ガチャをひけるんだ。100万G払えば、必ずURが出るんだ」

「それって……すごい能力じゃない……!?」

「まあな」


 シエルはびっくりしていた。まあ、そりゃそうだよな……。

 それから、シエルは神妙な顔つきで、言いにくそうに切り出した。


「あのね、実は……」

「うん……?」

「私の妹は、ひどい病気なの……」

「そうなのか……!?」

「それで、私は妹の生活費や治療費を稼ぐために冒険者をしてるんだけど……もしかして、ウルトの能力でなんとかできないかな……!? 勝手なこと言ってるのはわかってるんだけど、エリクサーとかって、もう一個ないかな……なんて……」


 シエルは申し訳なさそうに、そう言った。

 だけど、俺はそんなふうに頼ってくれたことがうれしかった。

 誰かから能力を必要とされることは、とてもうれしいことだ。


「大丈夫。エリクサーならまたガチャで当てればいい。俺にまかせてくれ! シエルの妹は絶対に俺が元気にしてみせる!」

「ウルト……! ありがとう……! でも、本当にいいの……? お金もかかるんでしょう……?」

「お金なら、さっきスライムから手に入れたお宝を売ればなんとかなるさ。それに、人命にはかえられないからな。よく俺を頼ってくれた、シエル。俺もうれしいよ」


 俺たちはさっそく、シエルの実家にいくことにした。

 そして、俺はガチャを引く。


「えい……!」



《禁呪の秘薬》

レア度 UR

説明 あらゆる病気を治す秘薬。



「おおお! これならいいんじゃないか……!」


 最初はエリクサーを期待したけど、こっちのほうがよさそうだ。

 ていうか、さっきからどうも俺に都合のいいガチャが出るな。

 もしかして、UR確定ガチャってだけじゃなく、必要な種類のものが出るのか?

 だとしたら、俺の運よすぎだろ。


「よし、さっそく妹さんにこれを使おう」

「うん、ありがとう……」


 禁呪の秘薬を妹さんに飲ませると、みるみるうちに顔色がよくなった。

 同席していた医者も驚いて、これは完治だと宣言した。


「よかった……! ほんとうによかった……!」


 シエルは泣きながら、妹に抱き着いた。

 俺も、妹さんを救えて本当によかったと思うよ。


「ウルト、本当にありがとう。私と妹を救ってくれて……もう、なんていったらいいか……」

「いいよ、なにも言わなくて。俺はシエルの笑顔が見られただけで満足さ」


 そう言うと、シエルはおもむろに俺のほうに顔を近づけてきた。

 いや近い近い、近すぎるって……。

 そして、シエルはそのまま、俺の頬にキスをしてきた。


「ウルト、大好き」

「ふぇ……!? そ、それって……友達としてって意味ですよね……!?」

「ううん、そういう意味でだよ」

「ううぇえええええあああああ……!?」


 こんな可愛い女子にキスされて、俺の脳みそがフリーズした。



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《大事なお願い!》


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