第3話 水
真っ暗な部屋の中にスマホの光と、青い光が横になっている男を包む。滝の動画。
山の頂上からザザザザザと大量の水が叩きつける。
水しぶきが細く膜を作っている。
眠れないときに夏谷敏彦は
水に関する自然動画を流しっぱなしにして目をつむる。
それが日課だ。
映像を観ているのは数分で、目をつむってから水の音を聴いて眠る。
水の星、地球。
70%以上が海。
95%の海を人間は知らない。
不思議だなぁ…
と睡魔がほどよく襲ってきた時に喉が乾いてまた起きる。
人間には水が必要。
暗闇の寝室から台所へ向かい
コップ一杯の水をごくごくと飲んだあと、再び滝の動画や海の動画を流し目をつむる。
心地よい
その時、部屋の外で
ドン
と音がした。
なんだ?
夏谷の暮らすアパートには
夏谷しか住人がおらず、近くに神社があるだけだ。
交通の利便も悪く、田舎という感じだが…もちろんちょっと車で走ればショッピングモールや住宅街、病院もある。
それはさておき
こんな夜更けにあの音はなんだ?
神社のほうから音がしたような気がするが…
窓のカーテンを開けると神社へ続く階段と鳥居が見える。
街灯が寂しそうに光っている。
そういえば最近、警官や背広姿の男達が連日この神社に来ているみたいだが、、
さすがにこんな夜更けはない。
ドン
ドン
ドン
再び音が鳴り響いた。
さすがに夏谷は体を起こし、窓の外をに見える鳥居を見つめた。
階段の先、神社から音がしている。
不気味というより、好奇心が疼く。
初夏とはいえ、夜はまだまだ肌寒い。
夏谷はスラックスにジャンパーを羽織り、鳥居の近くまで行こうと準備を始めた。
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