今の出版業界にいいわけする余裕があるのか?

月乃兎姫

第1話

 ここ20年、出版業界は影を落としている。それというのも、本が売れないのだという。しかしそれは需要と供給のバランスから鑑みれば、いいわけをするどころか、当たり前の話である。

 今の現状では、明らかに供給量が購買層の需要を上回り、また無料で読めるというサイトも増えたのが要因の一つ。


 小説サイトで成功した例を見れば、その理由が読み取れる。それというのも、本を直接的にも売り利益を売るのではなく、広告収入で成り立つ商売だからだ。これは動画サイトも例に漏れず、他のSNSもしかりである一方、成長期を経てなお、もはや過度な競争を経てして衰退にまで及んでいる。


 これはどのプラットフォームも同じであり、月々定額を支払うサブスクまでも、過度の予算をかけてしまったせいで、もはや打ち切り作品ばかりとなってしまい、消費者から敬遠され離れてしまった。これが出版業界と同義である。


 予算の規模の違いはあれ、明らかに過多と思える本を出版……最近では自費出版や個人での電子書籍化も珍しくないため、誰の目に見ても成長できる分野でないことは確かだ。それであっても危機感を覚えず、現状を維持する理由は、人を、また作品を育てることをせず、即戦力ばかり選んだツケとともに、選定者自らそうした選考を経て企業に採用されたことも一因であろう。


 これは多くの一般ユーザー自身が気づいており、また現状を憂いてなお、どうすることもできない。いくら購買層の意識が変わろうとも、それを供給する大本が何も変えなければ、現実はより厳しくなる。


 また私が次に来ると思っているものは、一般層がお金を支払い、広告を打つことで自らの作品を誰かに見てもらう――つまり見る側から作る側へ、そしてインセンティブでお金を貰う立場から、今度は支払う立場への移行である。


 それによって、これまで広告収入で成り立つ商売をしていた企業は軒並み業態を変えるか、または廃業するしか道はないと思っている。

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