第16話 ビールを飲みながらの碓氷峠越え

 というわけで、上野から高崎あたりまでは大人しくしておりましたが、少し早めに出向いてやろうと思いましてね、高崎を出発してしばらくしたあたりで、乗車しておりましたグリーン車のすぐ隣の食堂車に「突入」致しました。

 まずはビール。これを飲みながら碓氷峠を超えてやろうという魂胆であります。

 ついでに、つまみになりそうな料理を頼んでおきました。


 そうこうしておるうちに、列車は横川に着きました。しばし停っている間に、機関車が付いたようです。これでこのきつい峠を登るわけですな。

 この間、台車のバネの空気が抜かれて、何と申しましょうか、パンクした自転車に乗っているような感じで上がっていくわけです。確かあそこは1000分の67パーミルとかいう、専門外なのでようわかりませんが、とにかくきつい峠のそれも登りですから、テーブルの料理がずれ落ちる心配も、せな、あきません。


 でもまあ、かまわず私、ビールの追加を頼んで、つまみに頼んでおった中華の料理を食べながら峠を登り切りました。あの時は確か、酢豚と八宝菜を頼んでおりましたか。これだけあればたくさんですよ。

 なぜそんな料理があったのかはわかりませんが、渡辺さんにお尋ねすると、どうやら、日本食堂の営業所さんの独自の料理らしく、まあその、街中の中華料理屋さんほどうまいとは言えませんで、地上設備での作り置きのものではありますけれども、どうやらそれを湯煎かレンジでチンみたいなところでしょうかね。

 そこでその時点で一応、会計、済ませておきまして、領収書もいただきました。


 列車が軽井沢に着く頃には、食べ物はともかく、ビールのほうが切れましてナ、ホナ、しゃあない。

 改めて、ビールを頼みました。さらにビールを2本飲みまして、ついでに締めのラーメンとはいきませんが、締めに、カレーをとも思いました。

 とはいえ、ビールと惣菜2品で十二分に腹一杯になりましたので、健康を鑑みまして、これでやめておくことにしました。


 それだけ飲食できればもう十分ですわな。

 長野に着く前くらいにはぼちぼち戻りまして、あとはひたすら、グリーン車のリクライニングを倒して寝ておりましたよ。

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