伊勢参拝の普通列車 ~何と、食堂車が!

第2話 朝から酒飲むおっさんの話へ

 赤ワインとつまみも、すべてそろった。先程と同じように最年長の名誉教授がワインの味利きをしたのち、今度はそれぞれ別のグラスに赤色の液体が注がれた。

 改めて乾杯し、少しつまみをつついた後、再び名調子が再開される模様である。

 

「しかし岡原センセイ、寿司2人前にビール約大瓶1本、それに加えてうなぎ飯とは、そんな調子でよく、体壊されませんね、今日の今日に至るまで・・・」

 堀田氏が、あきれ果てたように感想を述べる。

 これに対する岡原氏の弁は、こう。


 とにもかくにも、あまり悩まんと、くよくよせんと、食べたいときに食べてそうでなければ食べないでおく。

 これが、健康を維持するためのコツや。

 それから、とにかく、歩けるところはしっかり歩くこと。

 止むを得なければ、自転車までや。

 バイクやクルマには、自分から運転して乗ることは一切ない。

 あとは、遠いところに行くときは必ず公共交通機関を利用する。

 これで、歩く余地がしっかりできましょうが。


 少し若めの2名、感心するやら、呆れるやら。


・・・ ・・・ ・・・・・・・


「ほな、次はこれ行こうか。伊勢参りの列車のお話や」

「あれ、朝から酒飲んどったおっさんらのお話でしたっけ」


 この話、戦時中の京都帝大の研究室で当時助教授だった岡原氏が、何かの折に教授や同僚の理学部の助教授、さらに研究室の学生たちに話していたことがあるもので、当時大学院生だった堀田氏も、何度か聞いたことがあるという。

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