自キャラにいいわけをする作者(KAC20237)

都鳥

自キャラにいいわけをする作者

「ねーねー、まだ書かないのー?」

 金髪の少女が黒い兎の耳を揺らしながら私の顔を覗き込んでくる。くりくりした赤い目がとても可愛い。あとケモ耳。


「作者さんにも色々事情があるんだから、無理を言ったら悪いですよ」

 黒髪の少年が、そう言ってフォローしてくれる。うんうん、君は優しいしいい子だねぇ。ちなみに彼にはケモ耳も尻尾も、まだない。


 気が付くと、自作品の登場人物たちに囲まれていた。

 書かないといけないと、思ってはいる。でも忙しいのだ。

 最近は動画を作るチャレンジをしているし、2~3日置きにKACのお題があって短編を書いている。サークル活動に参加していて、こっちのお題もある。執筆とは全く関係ないけどこの週末はライブ遠征だし、もうすぐ新しいゲームも発売する。


 うん、ただの言い訳だ。


 ウサギ耳の少女は、そうは言っても怒ったり拗ねていたりするわけじゃない。ちょっと面白がって揶揄からかってみている。ただそれだけだ。

 むしろ厳しいのは他のキャラで……


「ちゃんと計画的に進めないから、こういう事になるんですよ」

 銀髪で眼鏡をかけた美青年がキビしい口調で言う。彼はリアリストで若干毒舌なんだ。自分で設定したんだから、仕方ない。


「まあ、俺は作品内でいい思いができりゃあそれでいいけどなあ」

 あ、悪い。それは保証できない。

「なにぃ!?」

 ガラの悪そうな悪人面の青年が、不服そうに顔を歪めると、余計に人相が悪くなった。


「まあ、全く書いていないわけじゃないんだから。もう少し待とうじゃないか」

 大柄でたくましい青年がそう言って皆を諫めてくれた。さすがリーダー、包容力がある。


 彼らはこうして自分で動き出すくらいには育っている。

 でもあともうちょっと、のびのびと動いてもらうのにあともうちょっと一押しが足りないんだ。

 うん、苦手な戦闘シーンも頑張って書くから。君たちの物語を進めるまで、もう少し待っていてほしい。

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自キャラにいいわけをする作者(KAC20237) 都鳥 @Miyakodori

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