第2話

「ど、、、どうなってんだよこれ」

俺は、自分の目の前に起きている現実が信じられなかった

普通に考えてあり得ないことが、今起きているからだ

「これは、、、夢か」

そう思うしかなかった

いや、そうであって欲しかった

死んだはずの、父さんがいる。

子供の俺がそこにいる

ということは、母さんもいるってことだ

「あれ、あそこに誰かいる?」

「ん?どうしたすぐる」

やばい、そう思った俺は、少女と林の中に身を隠した

「あれー、気のせいかな」

「何かいたのか?」

「人がいた気がしたんだ」

「んー、見たところ誰もいないけどな」

「おっかしいなー」

「それじゃあ、かくれんぼは中止だな」

「えー、なんでー」

「怖い人に連れて行かれるかもしれないからな」

「じゃあ、鬼ごっこがいい」

「よーし、待てーすぐるー」

「あはは、こっちだよー」

「楽しそうだね」

そう、少女がつぶやいた

「ああ、そうだな」

自然と、涙が溢れた

同時に、あの頃に戻りたいと思った

「いいな、、、」

「あの人たちは誰なの?」

「あぁ、、父さんと俺だよ」

「すぐるのお父さん?」

「そうだ」

「なんで、すぐるは泣いてるの?」

「なんでだろうな、、、」

俺は、少女の問いにそう答えるのが精一杯だった

「一旦、ここから離れるか」

「どこ行くの?」

「わからない」

俺は、このまま見つかるのがまずいと思った

なぜかは分からない

もしかすると、現実から逃げたかっただけかもしれない

俺は、少女を連れて空き地へと向かった

「一体、どうなってるんだよ」

「ここ、何もないね」

「そうだな」

「でも、なんか安心する」

「そうだな」

「すぐる、大丈夫?」

「どうかな」

俺はまだ、今の現実がわからないままだった

これからどうしたらいいのか

夢であれば、いつ夢から覚めるのか

分からないこと、受け入れ難いことが多くて

頭がパニックだった

でも、一難去ってまた一難とはこのことである

「やっと見つけた」

どこからか、女性の声が聞こえた

すると、上から刀を持った女性が降りてきた

「やっと見つけたぞ、えり」

「えり?」

「少年、その子から離れろ」

「え?」

「その子は危険だ」

「いや、え、、あなたは誰ですか」

「そんなことはどうでもいい」

「今ここで、全てが終わるのだからな」

「終わるって、この子をどうするんですか」

「殺す」

「え?」

「早くそこを離れろ!でないと、お前も一緒に殺すぞ」

「何がどうなって、、、」

「もういい、一緒に死ね!!」

俺は咄嗟に、少女の手を掴んで逃げ出した

何がどうなってるのか分からない

ただ、体が勝手に動いていた

「すぐる、早いよ」

「ごめん、でも、もう少し頑張ってくれ」

「逃すかー」

俺が走る速度よりも、女性の走る速度の方が速かった

「やばい、やばい、やばい」

俺はもうダメかと思った

その瞬間

「この人は殺させない!!」

少女がそう叫ぶと、また一瞬目の前が真っ暗になった

「待てーーーー」

振り下ろした刀は、空を切った

「飛んだか、、、、」

「くそ、、、今度はどこに飛んだ」



「うう、、、、」

「大丈夫すぐる?」

「う、、うん。」

「危なかったね」

「ここは?」

「分からない」

「伝ヶ崎、、じゃあないな」

俺の目の前に広がってたのは、見たことのない街だった

「ここ、、、どこだよ」

頭が追いつかない

どんどん、状況が分からなくなっていく

立ち上がる気力すらない

「どう、、なってるんだよ、、、」

「すぐる!?すぐる!?」

俺はそのまま倒れ込んでしまった

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失った先に もちこ先生 @torotoromoro

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