第29話 開戦前の連休の端境

 2023年5月2日の未明。


 彼は、前日散々走り回っていた。

 それでもなんとか、17時過ぎには自宅に戻れた。

 そして、テレビ東京系でこの時間放映されている番組を見つつ、酒を飲んだ。

 早めに寝て、夜中に起きだす。

 そして、一仕事して、また、寝込む。


 この自分の朝はずいぶん早い。

 朝も5時を過ぎれば、窓の外は明るくなる。

 とはいえ、朝4時ごろともなれば、まだ、暗い。


・・・ ・・・ ・・・・・・・


「米河さん、もう酒は抜けたじゃろう。少し、よろしいかな?」


 トイレから戻って電気を切り、再び、彼は横になっていた。

 そして、あおむけになって少し考え事をし始めていたとき。

 

 どうやらあのお方、久々にやって来られた模様だ。

 目の前には確かに、かの老紳士がやってきている。


「そろそろ、始めねばなるまい」

「ええ。逃げも隠れもしません」

「そんなことはわかっておるわ」

「問題は、いつ始めるかですな」

「そのとおりである。いつか?」


 いよいよ、争点ではなく日程の調整段階に。

 さらには、最初の論点は何か。

 二番目以降の論点は、状況に合せて。

 いつごろまでを目途に、この論争を行うか。


 しばし沈黙の後、若いほうの紳士が、口を開いた。



 

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