第2話 ついに、「ラスボス」登場!

 本話は、「同床同夢」289~290話のダイジェスト版です。

 当面、森川VS米河関連個所のダイジェスト版をこちらで再編集の上掲載いたします。元の作品を大幅に加筆・訂正する場合もあります。

 次回以降も、本編に関する限りダイジェスト版を続けます。

 対象となるのは、「同床同夢」289~291、同308~312話です。


                          作者より


・・・ ・・・ ・・・・・・・ ・・・ ・・・ ・・・・・・・


 この日、作家氏は早めに寝込んだ。もっとも、1階のレストランといつも泊まっているその部屋で、散々酒を飲んでいる。それゆえ、眠くなったというのもないわけではない。


 20時を回った頃、彼はベッドに飛び込んで横になり、そのまま、寝込んだ。

 最初に寝込んだ場合、まず、夢は見ない。

 

 翌日未明、トイレに起き出したついでに、約1時間少々、メールチェックなどをして、それからまた、横になった。

 こうすることで、朝起きてからの仕事が格段に楽になるのである。

 ただしこれは、最近の彼にとっては、のことである。


 まだ夜が明けるには時間がある頃。彼は、ある人物に出会った。

 先程まで横になって考え事をするでもなく、構想を練るでもなく、とにもかくにも横になるだけなっていた彼であったが、気が付けば、気が遠くなっていた。

 そんなとき、目の前に人が現れたのである。


・・・ ・・・ ・・・・・・・ ・・・ ・・・ ・・・・・・・


「あなたが、米河清治さんですな」


 ふと見ると、この世でお会いしたことは確実にない人物。ただし、冊子や額の写真で見たことは、ある。かなりお年を召されていることは、間違いない。丸型の、それこそ自分と同じようなメガネをかけていて、髪の毛はほとんどと言っていいほどない。ネクタイはしているが、作業着のようだが、しかし時代が違うような。


 まちがいない。もう、あの人に違いない。ついに、来るべきときが来たようだ。

 これが、ゲームなんかをする人らがよく言う「ラスボス」、敵の最後の大物で、これを倒さないと勝てないという、あの手合いの最高峰の方なのか。

 意を決して、かの作家は、答えた。


「ひょっとしてあなたは、森川一郎さんではありませんか? 人違いでしたら、大変失礼で申し訳なく思います。ですが、そのお姿は、確かに、写真で何度も拝見しております、森川一郎先生ではと・・・」


 作家氏の問いを受け、ラスボスと思しき老人が、丁寧に言葉をつないでいく。


 そのとおり。私が、森川一郎です。元よつ葉園園長の、森川です。

 そろそろあなたにお会いしておかねばと存じまして、まずは御挨拶がてらにやって参りました。君は、どうやら、私のことを今どきの言葉で言う「ラスボス」、ラストボスであると思っておるであろう。

 いずれ私は、米河清治という若者、とは申しても、すでに50歳を超えた君には失礼な言葉であることは重々承知いたしておる。

 だがいつかは、石原莞爾閣下の論ではないが、よつ葉園という枠に関する限り、「最終戦争」に挑まねばならぬと思っておった。

 その相手は、間違いなく米河清治さん、あなたこそが、私にとっての真の「ラスボス」とも申すべき相手であると、確信しておった。

 いや、君はついに、私との「最終戦争」に挑まねばならぬときが来たのである。


 ただし、今日のところは、あいさつまでじゃ。

 このあとちょっと、行くところがあるからな。

 まあ、1カ月ほどの開戦猶予を、お互いに取ろうではないか。

 おいかがかな、米河さん?

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