第4話 就寝中に突撃!
土曜の昼食の時、理沙から『2日に1回か、3~4日に数回部屋に来てほしい』と言われた。
まだ距離を感じるが、以前より縮まったな。部屋を訪れて良い回数を微増させたんだぞ。本当に嫌なら、そんなお願いはしてこないはずだ。
そして翌日、日曜の昼食を済ませた午後2時。俺は理沙の部屋の扉をノックする。
…あれ? 反応がないな。ついさっき、部屋で物音がしたからいるはずなのに。
俺は扉を少しだけ開けて、中の様子を伺う。
どうやら理沙は昼寝しているようだ。仕方ない、出直すか…。
と思ったが、ちょっと待った! このまま戻るのは惜しいぞ。
久々に彼女の寝顔が見たくなった。小さい頃はリビングで昼寝することが多かったから、眺める機会がそこそこあったのだ。
少しだけ眺めてから戻れば良いか…。俺は物音を立てずに彼女の部屋に入る。
理沙はベッドで寝てるので、そばに近寄り観察する。
昔と変わらない、可愛らしい寝顔だ。今は距離があるが、昔のような関係に戻れると良いな…。
…もうそろそろ退散しよう。そう思って移動した時、床の軋む音があたりに響く。
見た目は普通なのに、ここだけ音がするな…。
「…誰?」
理沙が目をこすりながら、ゆっくり体を起こし始めた。
今更逃げることはできない。観念するしかなさそうだ。
「俺だ」
「…なんか用なの?」
不快感をあらわにする理沙。
「いつも通り、お前に会いに来たんだ」
「ノックは?」
「当然したぞ。けど、反応がなくてな」
「反応がなかったら、普通入らないよね?」
まったくもって、その通りだ。反論の余地はない。
「すまない…」
「何もしてないだけマシか…。これからは気を付けてよね!!」
自分の身なりをチェックした後、理沙は怖い顔で言う。
「悪かったよ」
この状況は『好奇心は猫を殺す』ってやつだな。
俺は大人しく理沙の部屋を後にして、自分の部屋に戻る。
せっかく距離が縮まりかけたのに、また開いたのでは…?
俺のせいなのはわかっているが、心配事が増えてしまった。
もっと誠心誠意謝れば良かったか? …今だからそう思えるのであって、さっきは見つかって俺も少し混乱してたんだ。そんな余裕はなかったな、絶対。
『これからは気を付けてよね』と言っていたから、許してくれると思うが…。
次に理沙の部屋に行く時は、彼女の好きなお菓子とかをプレゼントしたほうが良いかもな。少しでも早く、機嫌を直してもらわないと…。
こんな状態では、何も手に付かない…。勉強を後回しにして、最優先で考えるとしよう!
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