第5話 妹の機嫌を取るには?

 ついさっき、理沙が昼寝中にもかかわらず部屋に突撃してしまった俺。

運悪く彼女は起きてしまい、機嫌を損ねてしまう。


何かプレゼントして機嫌を取らないと。…どうしようかな?



 …あれこれ考えたんだが、候補が何1つ浮かばない。さっきはお菓子を思い浮かべたが、多くの女子はダイエットしてると思うので却下した。


だからといって、このまま放置するのもなぁ…。

普段理沙の部屋に突撃しても、二言~四言ぐらいしか話さない。


それ以上になると、彼女がウザそう・面倒そうに話すので、キリが良いところで退散するのがいつもの流れになっている。


その程度では挨拶+ちょっとした雑談が限界で、好みまで話す余裕はない。

こんなことになるんなら、強引にでも訊いておくべきだったかも…?


なんて後悔しても始まらない。理沙の機嫌を直すために、何かしらの行動はすべきだ。



 夕食後。俺は本日2回目の突撃を行う。理沙は俺をチラ見した後、再び携帯を見始める。


「理沙。昼はごめん!」

やはり、誠心誠意謝るのが一番だよな。切り札は後に取っておこう。


「もう良いって! 2度とやらないなら、これ以上は何も言わないから!」


「わかった、本当にありがとな。だが、それだと俺の気が済まない。だから明日、を渡すよ」


「アレって何?」

理沙が興味を示す。


「『なんでもやる券』だ!」


「はぁ? ふざけてるの?」


「ふざけてない! 俺が一方的に悪いのに、謝るだけじゃ申し訳ないだろ。俺に出来る範囲での償いをしたいんだよ。それがなんでもやる券だ」


「言いたいことはわかったけど、そのネーミングはどうにかならない訳?」


「確かにダサいが、わかりやすいだろ?」

シンプルイズベストってやつだ。


「…かもね。不器用な兄さんらしいよ」

クスッと笑う理沙。


「そこまで言うなら、明日受け取るから。いつまでに使えば良いの?」


「う~ん…。3日あたりにしようか。ズルズル先延ばしすることじゃないし」


「はいはい。…じゃあ私は、兄さんをこき使う事を考えるから」


「ゆっくり考えておけよ~」

そう告げて、俺は理沙の部屋を出た。



 部屋に戻ってすぐ、俺はなんでもやる券を作り始める。

とはいえ、別にこだわって作る訳じゃない。


ルーズリーフを券サイズにカットして、それっぽく書いたりデコるだけだ。

大事なのは券ではなく、理沙が俺に何かをさせることだし…。


何をさせる気なのか、まったく予想が付かない。

いくら理沙でも、そのへんの加減はできると思うが…。


なんてことを考える内に、なんでもやる券を作り終えた俺。

これを観た時、理沙はなんて言うだろうか? 明日渡すのが楽しみだ。

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