いいわけ

影神

良い、訳



物事を、自分の都合の良い様に解釈し。


そう。相手に話し伝える事、、



それが、俺にとっての"いいわけ"だ。



「寝た、か?


父さん。


仕事が忙しくなってな、」


暗い部屋に小さく話す。



母さんは、俺が小さい時に。


「買い物し忘れた物があって、、


ほら。今日は休日でしょ?


混んでたからねっ、」


そう言い。


再び買い物に行ったきり、帰っては来なかった。



今日は俺の誕生日。


日を跨ぐ前には帰ってくると約束したのに。


誕生日を過ぎても。


父さんは、帰って来なかった。



朝。冷蔵庫に入っていたケーキは。


俺の嫌いなショートケーキだった。



「行ってきます。」



見送られない玄関。


父さんは疲れて寝ているんだろう。



片親で。


ここまで育ててくれた事には感謝してる。



単なる俺のワガママなのだ。



祝って貰えるだけ。


用意してくれただけ。



感謝しなければならない事だ。



ただ、、


いいわけだけは、して欲しくなかった。



『ごめん、』



その言葉だけで良かったのに。



うちの家系は、素直に言えないんだ。



きっと。


いいわけが好きなのかも知れない。



「ごめん、


別れよう?」


「えっ。。


何で??



私の事。嫌いに、なったの?」


卒業すると同時に。


当時付き合っていた彼女と、別れる事にした。



「嫌いじゃないよ。



ただ、通う学校も。違うし、さ??


高校になったらバイトしなきゃだし。


だから。会える時間も、


無くなる、かなって」


彼女「時間なら、いくらでも作るし!


それならバイト、一緒ん所にすれば良いし。


、、何で?


何で、そうやって。


いつも自分で。勝手に、決めちゃうの!?」



そうだ。


彼女は何も間違ってない。


彼女「いいわけばかり、しないでよっ!


私の事。嫌いになったのなら、、


そう。言えば良いじゃない、」



そうだ。


俺は彼女が嫌いになったんだ。


だけど、素直に。



嫌い、



と、言えるはずも無かった。



「はぁ、」



いいわけは、何かを隠す時にも使う様だ。



大嫌いないいわけは。


いつしか俺の癖になっていた。

















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

いいわけ 影神 @kagegami

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ