リベンジ大成功!

冨平新

リベンジ大成功!

 ハチがブッチャーのタトゥ『7』を刺して、

ブロンディが勝利した腕相撲大会。

 

 興奮冷めやらぬ三恵子みえこ

長身イケメン紳士に化身したスチュワートが尋ねた。

 「お嬢様、次はどちらに参りましょうか。」







 「・・・三恵子・・・三恵子!」


 パチッ!


 三恵子は目を覚ました。

 母親の和美かずみが、三恵子の身体を揺り動かしている。

 三恵子は、拾って来たクマのぬいぐるみを抱いたまま、

床で眠ってしまっていた。


 「寝るならベッドで寝なさい。風邪ひくでしょ?」


 「だって・・・布団の上で寝たら、

おねしょしちゃうかもしれないから・・・。」

 三恵子はいいわけした。


 和美はクスっと笑って、

「あなたはもう中学生なのよ。

幼い頃のように、おねしょなんて、

もうとっくにしなくなったじゃないの。


・・・だけど、あの時はお母さんも、

何かと三恵子に八つ当たりばかりしていたわね。

ここまで三恵子が、気にしてしまうなんて・・・

少し怒り過ぎたのかもしれないわ。ごめんなさい。」


 和美は三恵子をきつく叱り過ぎたことを謝った。


◇◇◇


 次の日。


 「手を合わせて・・・いただきます!」

 「いただきます!」


 今日は米飯給食。

 サバの味噌煮ときんぴらごぼう、

そして卵スープと牛乳が配膳された。



 担任が、教室から出て行くと、

いつもの男子が近づいてきたことに三恵子は気づいた。



 (ブロンディのように、・・・私が勝つ!)



 男子が三恵子の牛乳パックをつかもうとしたその時、


 サッ!


 三恵子は素早く自分の牛乳パックを掴んでゴクゴク飲んだ。


 男子は、いつもとは違う三恵子の素早い動きに

一瞬呆気いっしゅんあっけにとられたが、次の瞬間、

三恵子のスープの器に手を伸ばした。


 バシッ!


 男子の手を、三恵子がはたいた。


器を手に持つと、スープをゴクゴク飲んだ。



 すると、大量のハエが窓から入ってきて、

男子の給食にたかった。


 「クソッ!宝田たからだ

お前のせいでハエがたかったじゃねーかよ!」

 

 男子が訳の分からない理論を展開していると、

担任が戻って来た。


 「コラッ!給食中に席を立って、何を騒いでいるんだ!

席に座って静かに食べなさい!」


 「だって・・・あれっ?」

 たかっていたハエが、一匹残らず居なくなっていた。


 男子は一言も、いいわけができなかった。



 (完)

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リベンジ大成功! 冨平新 @hudairashin

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