読後、胸の奥に冷たい鉛のようなものが沈んでいくのを感じました。この作品は、「推し活」という一見ポップで明るい文化の陰に潜む、深く、狂おしいまでの執着と孤独、そして自己の崩壊を、痛々しいほどにリアルに描いています。冒頭の「スギ花粉」という生理的な不快感から始まり、季節の嫌悪と推しの消失が絶妙に重ね合わさっている点がまず印象的でした。不快な三月、という言葉がそのまま読者の心象風景となり、以後の展開に強い没入感を与えています。
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