ふたつめ なんてね!

「ふふっ。あははははは!綺麗だったよ!しゅんくん!」


マンションの一室で女の高笑いが響く。


「人間は命を散らす瞬間が一番美しいってね!」


しかし、いくら「しゅんくん」に問いかけてもその部屋の中にそれに答える声はない。


「恥ずかしい?そんなことないよ!私は…

えへへぇ。」


恍惚とした表情で話し続ける女。

それはまるで独り言のようだった。


「しゅんくんはかっこいいんだよぉ!例えばね!…ん?」


彼女の話を遮るようにけたたましいサイレンの音が響く。


「今、私の家の近くをパトカーが通ったんだ。何か事件かな?怖いね。って、そんなことより、話を戻そうよ!私この話だけでご飯3杯はいけちゃうね!」


彼女は無生物に向かって話し続ける。


彼女のその手には























スマートフォン無生物が握られていた。


スマホから声がする。


「だからぁ!もうやめてくれよ!恥ずかしいんだって!その話!黒歴史なんだって!」


「あはは!しゅんくんのそのリアクションが面白くて、つい!」


「第一!性格が悪いよ!あの自己紹介で一発ギャグして滑った瞬間を命を散らすって表現するなんて!」


「実際、あの後のしゅんくん、生気がなかったよ!」


「ヤメテ…。ヤメテ…。」


「いいじゃん。彼氏の失敗を笑うのも彼女の特権だよ!」


「よくないよ!そんな彼女の特権やだよ!」


「『しゅんたろうです。』つって急に反復横跳びからの『実は瞬間移動ができます。しゅんだけに。』」


「ぬぁー!やめろ!ばかやろー!」


ただの通話してるバカップルのお話でした。


こういうカップルほど長続きするってね。


ちゃんちゃん。



作者より

思いついたから書いた。それだけ。

脱力系の笑いだよ。

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草野の短編集 草野蓮 @kusano71143

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