もしも春と冬が喋ったとしたら
望月ナナコ
第1話
「ふぇっくしゅん!」
「大丈夫!?」
「うん、ごめん。今年花粉が凄くて・・・目も痒いし、鼻なんて取ってジャバジャバ水洗いしたいくらいだよ。薬飲んでこれなんだから今年はマジでヤバいよ・・・。」
女子高生が暖かい太陽の下を帰っている途中、春と冬は喧嘩の真っ最中だった。
「ちょっと春ちゃん、どういう事!?いつもだったら交代の時間まだだよね!?」
「え・・・まあその・・・そうなんだけど・・・。」
「私だって春ちゃん、夏ちゃん、秋ちゃんの順番を一年待ってやっと交代したんだよ!それなのにこんなに早く終わりなんてちょっと酷すぎない?」
「そうだよね・・・。」
ああ、いつもクールな冬ちゃんがブチ切れている。そして冬ちゃんが言っている事は至極もっともで反論の予知は無い。
しょうがないか・・・。
「なんか最近は地球ちゃん少し熱っぽいらしくてさ、人間界じゃ地球温暖化なんて言うみたいだけど。それもあって予定より早くお達しが来たんだよね。」
ああ、伝家の宝刀、地球ちゃんを言い訳にするなんて・・・私ってなんて罪な女。
「・・・そうなんだ。」
人間界では知られていないけど私達は地球ちゃんの指示に従ってそれぞれの場所を熱くしたり、寒くしたり移動しているんだよ。
というのは建前で、実は最近日本にいる桜の木君と仲良くなってしまったの。早くこの綺麗な桜の花びらを君に見せたいななんて言ってくるんだもん、私、どうしても早く咲かせてあげたくて・・・。
それで地球ちゃんに頼み込んでちょっと早いけど冬ちゃんと交代、日本に来させてもらったんだ。
「・・・春ちゃん。」
「お待たせ、桜の木君。私が来たからには寒い気温とはおさらば、桜の木くんが安心して綺麗な花びらを咲かせられるように頑張るからね!」
ラブラブな私達が創り出す今年の桜はいつにも増してきっと皆を魅了するに違いない。
だから是非、お花見しに来てね!待ってます!
もしも春と冬が喋ったとしたら 望月ナナコ @nanako75
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