分裂少女[セパレーションガール]
「あの!」
「どうしたの?美空ちゃん」
「私、実は先輩n...」
(待って待って待って待ってストーップ!)
(何よ!?いいところだったのに!)
(いいところだったから止めたんだけど!?まだそんな時じゃないでしょ!?)
「ごめんなさいやっぱりなんでも無いですっ!」
私の名前は天鳥 美空。二重人格?の高校一年生。二重人格といっても、お互い話せるし、体の主導権は好きにできるから、ある意味楽ではあるんだけどね。にしてもあの子、一体何考えてるのよ....
ボクの名前はミソラ。二重人格の二人目の方の高校一年生。美空はほんっと何考えてるのか。及び腰なんだから...私は美空に望まれてここにいるのに。
あれは一年前の夏の日のこと....
「ああああああああああっ!失敗したあああああああああああああっ!」
えーっと今日は先輩に話しかけられた訳なのですが...なんとも内容が...
「美空ちゃん、今週の日曜、暇?」
デート?のお誘いだったのです。
(考えるのよ美空!これはデートじゃない!トゥイッターでよく見るバイトのシフト変わって欲しいってやつよ!私にそんな都合のいいこと起きるわけないじゃない!)
「ごめんなさい...その日は予定が...」
「そっか、、、ごめんね」
その時、先輩は見るからにしゅんとしていた。当時は気づかなかったもののここを振り返って私は察したのだ。
デートだったんだコレッッッッッッッッッッッッ!
私は本当にいつも間が悪いし勘も悪い。せっかくのチャンスなのにいつも変な選択をしてしまう。誰か私の代わりにそういうこと、決めてくれたらいいんだけど。
瞬間耳鳴りがして、私の頭の中で声がした。
(やあ、ボクはミソラ。君の恋愛、手伝ってあげようか?)
それが一年前のあの日。
あれから、私は変わった。いや、変わりすぎた?
(なんであそこであれ言ったの!?)
(逆にそれを他でどう言うのよ!?)
頭の中で大喧嘩したり。
(えーと...大丈夫?)
(たすけて)
ときに助け合ったり。
なんてことをしてるうちに私たちは打ち解けていって、今や人生のパートナーって言っても過言じゃない存在になった。
ある日のことだった。
「先輩!私と付き合ってください!」
「ごめん」
その一言で全てが瓦解した。
元々一人への恋愛感情から来ている信頼関係。それが片方のせいで崩れるとなったらどうなることかは容易に想像がつく。
(もう二度と出て来ないで)
(...)
私はミソラを傷つけた。
私はミソラを傷つけた。なんて思われているんだろう。とは言っても、元々悪いのはボクなんだけどね。
私にもとから行動力があれば。
ボクにもっと自制心があれば。
ミソラが現れるまでに私がもっと先輩と話せていれば。
ボクがあんなに強引に先輩に仕掛けなければ。
せめてミソラに強く当たらなきゃよかったな。
せめて隠れて美空のことを見守っておきたいな。
こうして私達が交互に現れることも、心の中で会話することもなくなった。
そうやってボクが表に出なくなるうちに、ボクは寝ている時間がだんだんと増えた。
でも、そこにいる感覚だけはあった。けれど、それすらもだんだん薄れていって。
もう最近じゃ起きている時間の方が短くなった。このまま、消えるのかな。
もうボクはダメだ。そんなときだった。
(ミソラ、ごめんね)
(ううん。ボクの方こそ。)
こうして、ボクは消えた。
こうして、私は私と別れた。
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