第2話 絶望を希望に変えて

 俺はナミナとブリューレ大草原を後にした。

 

 どうやらあの時、ナミナは薬草集めのためにブリューレ大草原に来ていたみたいだ。


 なんでも、冒険に必要な回復薬を調合するためだそうだ。

 (やっぱりナミナちゃんは頼りになるな)


俺達は馬車に乗って、次の目的地の

 ランドフ遺跡に向かっている所だ。


 ランドフ遺跡には、たくさんの岩石が、ごろごろとあるらしいが、その中でも、俺達が採掘するのは、

 フレイニーストーン


 別名 〝ヴィーユンの深い純愛〟だそうだ。


 なんでナミナさんは、こんな石を求めてるのだろう……


 「ソウスケさん!もうすぐランドフ遺跡に着きますよ!」

 

 「思ったよりも早いね!」

まぁ、1時間以上はかかってると思うけど……

 まぁ、ナミナさんと、たくさん話せたのは嬉しかったけどね。


 ランドフ遺跡付近で降りた俺達は、遺跡へ向かって、歩き出す。


 「遺跡まで結構遠かったね!」

  

 「そうですね!退屈しませんでしたか?」


 当たり前だが、俺はコミュ症なので、あまり人との会話が得意ではないのだが、なぜか、ナミナちゃんの前では普通に話せるんだよな。


「全然退屈じゃなかったよ、ナミナちゃんと話せたから楽しかった!」


「それは良かったです!」

天使の様な笑顔だな。

 

 そんな話をしている間に、ランドフ遺跡前に到着した様だった。


 「よし、じゃあ、入ろうか」


「そっ、そうですね!」


 そして俺達は、遺跡内部へ入っていった。


 内部は、予想以上に異様だった。

 石はごろごろと落ちてはいるものの、人骨らしきものや、血で錆びた様な、ナイフがたくさん落ちている。


 「お、思っていたよりも、その、不気味ですね」


ナミナさんは、怖いせいか、声が震えていた。

 正直言うと、俺も怖い……

 てか、怖すぎんだよ、なんなんだよ、なんで人の人骨やら、錆びたナイフがごろごろ落ちてるんだよ。


 そう思いながらも、一歩一歩進んでいる自分の探究心には驚かされるな。


 「ナミナちゃーん、フレイニーなんとかはあったー?」


「フレイニーストーンですよ!ないですよー!」


やれやれ、覚えづらい名前だな……

 てか、どんな見た目なんだろう。


 「その、フレイニーストーンって、どんな見た目なのー?」


「えっと、それはですね……」


「グレミアム」


ナミナさんが石について言いかけた所で、聞き覚えのない太い〝男〟の声が響いた。


 「だ、誰だよ、あんた……」


目の前に〝牛の顔〟をしている大男が佇んでいた。

 鎧を纏っているらしいが……なんなんだ、あれ……


 「貴様らも探しているのか、フレイニーストーンを」


口を開いたと思ったら、思いもよらないセリフが出てきた。


 「フレイニーストーンを知っているんですか?」


ナミナちゃんも気になったのだろう……

 

 「フレイニーストーンを狙う者は、容赦なく殺す」


あ……駄目だ、話が通じないタイプだ……

 下手したら殺られるぞ、これは。


 「ナミナさん!逃げよう!」

 

 「はっはい!」


俺達は急いで、今来た入り口へ急いで出ようとした

 が……


 「なっ、なんでだよ」

あったはずの入り口がなくなっていた……


 「嘘っ……さっきまでありましたよね……」


ナミナちゃんは合ってるよ、確かにあったはずだ……

 じゃあ、なんでないんだ?


 「どうした、貴様らに逃げ道はもうないぞ」


後ろから、あの牛男がゆっくりと近づきながら、そういった。

  

 「我の能力、グレミアムによって、入り口は塞いだ」


 「どっ、どうしましょう!」


くそっ!どうすりゃいいんだよ!無理ゲーだろ、こんなの!


 「もう、終わりだ……諦めろ」


そう言うと、男は、物凄い速さで、こちらへ近づいてきた。

 

 瞬きをする間に、男は俺の前に立っていた。

 

 やばい……俺死んだかも……

 

 「お困りの様ですね」


恐怖と、絶望で立ち尽くしていた俺の前に現れたのは


 「ト……トイレの神様……」


 「ふっ、なんですか、涙なんか流して」

安心する神様の笑顔と、優しい声に

 どうやら、涙を流してしまったらしい……


 「なんだ?貴様は……」

牛男は、神様を見て、動揺はしていないようだったが、警戒はしているようだ。


 「ソウスケ様、今こそ貴方に与えた能力を使う時ですよ」


 「でも、あの能力って……」


「疑っているんですか?

 私を信じてください、ソウスケ様」

 

ちくしょう……正直、神様の言っている事は半信半疑だけど、やるしかなさそうだな。


 「何をごちゃごちゃと……潰してやるわぁ!」

牛男は、いびつな形をした斧を振り上げ、思い切り俺に振り下ろした。


 やるしかないな……いくぞ!


 「フィギュア・コレクター!」


俺がそう口にすると、目の前には、青髪の美しい女騎士が目の前に現れた。

 

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