変な異世界転生をしたけれど、二次元フィギュアが異世界で実体化しました

アサダユウキ

第1話 オタクがまさかの異世界転生!?

 俺はオタクだ。

 え? 何のオタクかって?

 

 二次元オタクだ!


 さっきもアニメを普段通り見ていたよな?

 なんで目の前にーーの神様がいるんだよ!


 5分前。


 いつも通りアニメを一気見していた。

 

 「やっぱマオちゃん可愛いな!ツンデレ最高!」


(うっ…やべぇ……お腹痛くなってきたかも……)


鑑賞中に突然、腹痛に襲われたんだったな。


 「やべぇぇぇ!急いでトイレにぃぃぃぃ!」


 俺は急いでトイレへ駆け込んだ。

 

 「バタンッ」


「ふぅ……無事にトイレに着いたはいいが本当の勝負はここからだな……」


そう、着いたはいいものの、着いたからといって痛みが無くなる訳ではないからな。

 ーーってあれ?


 「痛くないな、なんでだ?急に治ることはあるけど、さすがに急すぎやしないか?」


「貴方はたった今死にました」


 腹痛が急に止んだので戸惑っていると、聞き覚えのない女性の声が響いた。


 「えっ?すみません、耳くそが溜まってるのかな?全然聞こえなかったので、もう一度お願いします」


嘘だ……本当は聞こえていた。

 だが自覚がないし、困惑しすぎて聞き返してしまった。

 

 「ですから、貴方はたった今死にました」


 駄目だ。

 再度聞き直しても全く理解が出来ない。


 「えっ?いやいや、冗談きついですよ!そもそも貴方誰ですか?なんで人の家のトイレに勝手にいるんですか?」


なんで腹痛だけで死ぬんだよ。

 大体この人誰? なんで勝手に人の家に無断でいるの?

 やばいな……ますます理解が出来なくなってきた。


 「冗談ではありませんよ、貴方は死にました。それと、私はトイレの神です。」


えーっと、マジで何を言ってるんだ、しかもなんだよ、トイレの神って……

 どんな神様だよ、人の家のトイレを監視するのが仕事なのか? それとも死を宣告する予言の神か? いや違うな……

 トイレの神だもんな。


 ーーうん……もう分からない……


 「私は全てのトイレを監視しています」 


 えっと、今度は変態発言ですか?

 情報量が多すぎる。


 ただ、分かったことがある。

 このトイレの神様は……

 

 めちゃくちゃ可愛い。


 白髪でサラリとしたロングヘア。

 何でも見透かしている様な優しい目。

 整った顔立ち。


 まぁ、見た目だけなら女神様みたいだが、この神は。


 トイレの神様

 だもんな……

 

 「なるほど、大体の話は分かってきたんですが、一つ分からないことがあります」


「なんでしょうか?私が服を着ていない事とかでしょうか?」


あぁ……たしかに、スルーしてしまったが、なんで服着てないんだよ!

 まじで神なら服くらい着てくれ! 変すぎるだろ!


 「たしかに、服は今すぐにでも着て欲しいですが、何よりも気になるのは、俺の死因だ」


 そう、何よりも気になるのは、死因だ。 

 俺は腹痛でトイレにいた、その間に死んでしまうことは絶対にありえないのだ。


 「あぁ、それは貴方が言ったからですよ、『神様助けてください、この腹痛を止めてください』と」


 ーーは? たしかに思い返せば言ったけどそれが死ぬ理由にはならなくないか?


 「えっと助けてとは言いましたが、死ぬ理由にはならなくないですか?」

そんな訳の分からない理由で死ぬのはごめんだ。

 まだまだ未視聴のアニメがたくさんある、絶対に死んでたまるか。


 「あの時に腹痛を私が止めるには、これしかなかったんですよ、神でも腹痛は止められませんからね、せめて死んでいるなら痛みはないので」


なんなんだ、そのふざけた理由は。

 紙でも痛みは止められないー? だからって死なすことはないだろー! ちくしょー! そんなふざけた理由で死にたくないわー!


 「復活させてください!そんな理由は納得出来ません!」

何があっても復活してやる。

 ますます死にたくなくなった……


 「誠に申し上げにくいのですが、私は死なすことは出来ても生き返らせることは出来ないのです……」


なんだってぇぇぇぇぇ!

 そんなぁぁ! 

 ふざけすきだろ! この神様は!

 

 「ふざけんな!どうにかして復活させてくださいよ!」


「そんなことを言われましても……」


くそがぁ! 全然使えないわ、この神様は!

 なんか、なんかないのか……


 「あっ、生き返らせることは出来ませんが、転生をさせる事は出来ますよ!」


なんだって? 転生が出来るだって?

 これは! まさかまさか!

 

 異世界転生が出来る!


 ずっとアニメで憧れていた異世界転生が出来るなんて

 夢みたいだ!


 「異世界転生をさせてください!」

 ついに念願の夢が叶う! ラッキーすぎるぜ!


 「それでは、見た目の変更は出来ない事を始めに理解してください」


なんだって!? 

 見た目は変更出来ない……だって?……


 「その代わりとして、転生先では、好きな力を自分で選び事が出来ますよ」


あ、そこら辺はちゃんとフォローしてくれるんだな。


 しかし、急にそんな事を言われてもな……

 好きな力か……


 「力は考えとくけどさ、俺のオタグッズって転生先には持ってけれない?」

俺がコツコツ集めたフィギュア達は絶対に持って行きたいところだ。


 「それは……ちょっときびしいかと……」


 なんだって? マジで、この神様使えないよー!


 「あっ!ではこんな力はどうでしょうか?」

 

 俺は神様にオススメの力を提案された。


 「えっ、そんな便利な力があるんですか!それでお願いします!」

とんでもなく素晴らしい力だと、この時の俺は、思っていた……


 「それではっ!異世界へ転生させます、御武運を」

そういって神様は優しい笑顔を最後に見せてくれた。


 「可愛かったな、神様は彼氏とかいるのかな」

そんな事を考えていると、だんだん眠たくなってきた。

 まぁ、転生するからな……


 そして俺は静かに眠りについた……

 

  

 「あっ、あの!大丈夫ですか?」


ーーん?


 気付いたら眠ってしまったみたいだな……

 

 「よっこらしょっと」


俺は起き上がった。

 目の前には、美少女がいた。

 金髪のボブに、

 ぱっちりとした目。

年齢は15くらいだろうな。


 めちゃかわええ……


 周りを見てみると、大草原に、牛の様な生物がゆったりと歩いていた。


 どうやら本当に転生したようだった

 と、いっても、見た目はそのままなんだがな。


 「あの、大丈夫なんですか?」


どうやら俺の目の前の少女は純粋なんだろう……

 まだ心配してくれている。


 「大丈夫ですよ!ただ眠っていただけだから心配しないで!」

 

 そう、ただ眠っていただけで、起きてみると転生していた。

 (転生って、こんな感じなんだな)


 「そ、そうなんですか!心配しましたよ!」


 本当に純粋だな! 

 この子は絶対いい子に育つだろうな。


 「所でここはどこだか分かる?」

転生したのはいいものの、どこだか分からなければ後々面倒になるだろうからな。


 「分かりますよ!ここはブリューレ大草原ですよ!」


ブリューレ大草原? やっぱり聞いてよかったら、この大草原を見ても、そんな名前はつけようとは思わないからな。


 「きみ、名前なんていうんだ?」


「ナミナと言います!」


「ナミナちゃんね!俺の名前は、山田ソウスケって言うから覚えてね!」


こんな可愛い子と話したの初めてだなー、ちょっと喜んでる自分がいるな。


 「あっあの!ソウスケさん!」

力強く俺を呼んでくれた……

 やっぱ優しいな、この子。


 「ん?なんだ?」


「あの!私と冒険しませんか!」


ナミナちゃんと冒険が……

 答えは一つしかないだろう。


 「おう!いいね!一緒に冒険しよう!」


「いいんですか!ありがとうございます!」


 こうして俺の小さな冒険が始まるのだった。


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