エクスキューズミー‼︎

杜侍音

エクスキューズミー‼︎


『──もしもし、そこの人。あなたはこれから転生して、世界を救ってくるのです!』



 ──なんだか騒がしいので俺はイヤホンを付けて音楽を聞き出した。一人で下校中なのだが、高校の食堂がまだ開いておらずご飯を食べてないのでお腹が空いてきた。なので、コンビニでチキンを買って外に出たら急に視界が歪み──貧血かぁと思いながらチキンを食べて目の前の交差点に向かうと、向こうからトラックが突っ込んできて──おいおい、赤になるからってそんなスピードだと事故るだろと思いながら、横断歩道を渡った。すると目の前からサングラスとマスクをつけ、包丁を持った男が真っ直ぐこっちに走って来て──すれ違い、カメラを持った男がさらにその後を追う。お、この辺で撮影でもしてるのかな? 雰囲気的に大学の映画サークルだろうなぁなんて思いながらスマホゲームを開いた。もうすぐサービス終了するこのゲーム──特に思い入れもないし、どうせ終わるなら容量がもったいないし、さっさとアンストした。そういえば、このゲームを教えてくれたのが小学校から付き合いのある友達だった。彼は今、不登校で長らく会っていない。そういや今朝あいつからよく分からないサイトの招待状来てたな──あ、有効期限切れてる。なんだよ、そんなの送って来るなよな。てか、クラス全員どこ行ったんだろうな。学校に遅刻して行ったら床に変な落書きだけあっただけで誰もいなかった。だからとっとと早退してるんだが……ん? 猫が横断歩道を渡ろうとしている! ──かわいいなぁ〜! 写真撮っとこ。にしてももうすぐ高校を卒業かー。俺は就職という進路を選んだけど、どうやら行く会社が結構ブラック企業と噂されてるんだよな。過労死しないか心配だ──ん? 母親から電話だ。「え、宝くじで一等当たったって⁉︎ しかもアメリカのキャリーオーバーで300億⁉︎ ……おっけー、内定辞退してアメリカついてくよー。うーい」──いや、待てよ? 海外には飛行機で行くよな。俺は高所恐怖症だから乗れないや。ならば豪華客船で──泳げないから海も無理だったな。まぁ、お金あるなら振り込んでもらうよう頼んで、やっぱり日本で優雅に一人暮らししよっかな。ヘックシュ‼︎


「──うぅ、寒っ……くないや。どこここ」

「あなた全然転生してくれませんね⁉︎ 長々と転生しない言い訳をツラツラと並べてくれちゃって! どんな回避能力を持ってるんですか‼︎」

「いや、知らないけど。てことは何だ、俺クシャミで死んだんだ。そうか、転生すんのか。気は乗らないけどちょっと楽しみだ」

「話が早いですね……まぁ、いいでしょう。あなたは転生して異世界を救ってもらいます! 頼みましたよ! 転生先は不死身なあなたにピッタリ! アンデッド族の垂れそうで垂れない粘液強めのヨダレです!」

「良いわけあるか‼︎」

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