第10話 08月獅子09月処女

『08月』獅子宮 獅童什造【男性】「シドウ ジュウゾウ」

【原稿は神風と共に モンゴル帝国の再興物語】

「原稿=元寇」と絡ませて、新しい企画を練っている。

仕掛け役はキャッチーな設定を何時も望んでいる。

偶々、原稿と入力した液晶画面を見詰めて

後々、元寇と漢字変換してみた。

正直、元寇についての知識は皆無だ。

 物書きは調べることも仕事の一環。

担当している新人作家に送信するメールを書きながら

漠然とした外枠を想像して、独り口角を上げた。


BILLION PAGE VIEW……これが俺に与えられた担当楽器。

外見が書籍みたいなアコーディオンだと言う。

 坪倉は枚数を逆算しながら、皿を割って行くと言う。

シンバルみたいな立ち位置だが、果たして……。

 梨大ちゃんは唯一楽器じゃ無くて、作詞担当。

1980年代にスポットを当てたフレーズ収集に没頭しているらしい。


『09月』処女宮 水川聖子【女性】「ミズカワ キヨシコ」

【聖なるの約束 キヨシコの夜】

 本当はセイコって言うけど、年末に観たドラマの影響で

自身をキヨシコと名乗っている。面白い変換だ。

私には音楽の素養が無い、と思い込んでいた。

しかし、意外な才能に気づく。

口がくるくると回るのだ。早口言葉が得意。

 MICを持たせたらスキャットと呼ばれる技法で

自由自在に摩訶不思議な詠唱を唱え続ける。

由紀さおりさんが得意なアレです。


 ミズカワは本当の名字だけどセイコは偽名。

「水川」→「氷川」→「きよし」→「キヨシコ」→「聖子」と言う連想ゲーム。

きよしこ自体は作家の重松清さんに起因する。

上記にあるように、年末に放送されたドラマがきよしこの夜だった。

Blu-rayを起ち上げたら、未だ映像が残っているかも知れない。


 2022年の大晦日、紅白歌合戦でLGBTQを最大爆発させて

芸能界の一時引退を表明した氷川きよしさんには悪いけど

ウチの(二代目)ビューリも全く引けを取らないオネエキャラである。

まあ、あの人は胡坐をかいて一日の60%はオッサンのままだけど。


 かく言う私はオナベかって? ううん、どうなんだろ?

自分の中の男性性が大きな主張をして来ない内は違うと言えそう。

曲がりなりにも、乙女座の代表ですからね。

処女宮を預かる身としては、女性性に素直で在りたい。


 ここだけの話をすると、個人インタビューの後は、

タイマンで対談企画が待っているらしい。

流れで行ったらオネエのビューリだろうか?

ビューティフル・リヴァー=美しい響き。

「アンタア、Wikipedia読んだでしょ?」

周囲からチクチク言われそうだけど、

彼の本名は百瀬由一(ももせよしかず)で

紅白歌合戦は男性出場が多い、とのこと。

当時は世間体もあり、一度、落選した暁には

呼ばれなくなる可能性が実に高かった為に

事務所が慎重策を採用した、とのこと。

 生まれは長野県諏訪市、血液型はA型。


 私、水川聖子からは以上かな。

今度の企画対談もビューティフル・リヴァーでほぼ決定ね。

あんのLGBTQヴォーカルに根掘り葉掘り訊いてやろうかしらん。

六弦巡海ちゃんとの対談が当たりって言われている中で

私は百瀬由一と、性別を超えたオンステージを。

(元号の令和って、よしかずとも読むらしいよ!)

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