こっくりさん②

 連日、隣のクラスでは『こっくりさん』をしているようだった。

 運動会や文化祭のような一体感を醸し出していた隣のクラス。その一体感を作り出していたのはまぎれもなく『こっくりさん』だった。


 ある日、急に隣のクラスが『こっくりさん』をやらなくなった。


 理由を隣のクラスの友人に訊いてみた。


「こっくりさんをやっていたらユリコちゃんが具合が悪くなって保健室に運ばれたから」


 ……なんだよ、その理由。


 詳しく訊いてみると、どうやらこういう事情らしい。


『こっくりさん』中。複数人の指を乗せた硬貨が急に質問とは違う文字をなぞりはじめたらしい。


 ――北にいるやつ、呪う――。


 その時、北方向にいたユリコちゃんが真っ青な顔をして倒れてしまった。騒然とするクラス。そして、ユリコちゃんは保健室に運ばれたようだ。


 ……貧血だったようだが。


 それ以来、隣のクラスは『こっくりさん』を恐れて誰もやらなくなったようである。


 もちろん、担任の先生からも禁止令みたいなものが出たようだ。


 そんなエピソードを知っても、私の『こっくりさん』への興味は深まるのだった。


 そして、私はある日、『こっくりさん』を実行してしまうのだ。

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