つまらない人生

私の人生はつまらない。

 人には誰しも自分を悲観してみたい時間というものが存在するのだと思う。私にとってはそれが今だ。

 たまたまアルバイトが休みになった二連休で、数か月ぶりの一人でのお休みだというのにやりたいことが何も浮かばない。普段のように規則正しく生きていればやりたいこと、欲求は従来通り湧いてきたのだろうと思う。だけれども何もしないでいいというこの二日間で私はかなり堕落してしまったのだと考える。

 周りから見ればかなりな幸せ者だという自覚がある。アルバイト先では他の人から頼られ、学校の成績もそこそこ。大学に入れさせてくれる親もいて友人にも恵まれている。そして恋人もいる。だけれども、私の人生はつまらない。

 人に頼ることでしか私の価値を創出できていない現状に私はつまらないと宣言する。

 どうすれば面白い人生になるかと考えた時期もあった。しかし私はそれを面倒だと切り捨てた。

やりたいことといえば模型製作。屋外での運動。恋人との性行為。したいことはほかにもたくさんある。けれど何もやる気が起きてこない。私の人生だ。私が勝手に決めればよいものだから私の自由なのだが、なんともつまらない人生だと思う。

自分の意見を通さずに大学へと進学した。その大学での他の友人、先輩方との関わり合いはこれまでの私の常識を覆すほど刺激的な日々でもあった。楽しい世界に私はいる。そうともわかる。けれども一人の時間を手に入れた時に私は、このままの人生でよいのだろうかと考える。

進学先も特殊でこのままこの学校を卒業すれば社会的にもうまくいっている人間と呼ばれるような地位を手に入れられる。だからこそ何にも焦っていない自分に焦りを感じている。どうせ何もかもうまくいく。それはこれまでは自身の努力の上で成り立っていることだというのも忘れて今日も自分を慰める。

この人生のつまらない部分は人に価値を頼ることのほかに将来が、未来が安定して確定してしまっているということだ。何になりたいだとか、そういう自由が制限されている。他の誰かと付き合って様々な恋を経験するということが制限されている。今のこの地位、状態を逃せば安定をきっと失ってしまうという私の勇気のなさによって私の人生は一層つまらなくなってしまっているのだ。

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短編集 坂本 @kai-minato

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