変遷
何年かぶりに実家に帰ってきた。それで気づいたことがある。変わらないものなど存在しないということだ。何も真理のようなものを語りたいんじゃない。ただただ自転車で周遊している時に気づいたことだ。
実家は大阪。出先は山口。住んでいれば案外気づかないものなのだけど一度外に出てみれば、それこそ今回は五年だけど、半年だったとしても町の風景は簡単に変わるのかもしれない。
久しぶりに再会を果たした友人が何人かいる。みんな五年もあれば年を取る。おじさんにもおばさんにもだんだんと近づいていく。この二十四歳から二十九歳の五年は人間にとって大きな変化を与えてくれる。高校生から大学生になるときにも変化を感じた。その時は髪の色が変わっていたり耳元が空いていたりと遠目で見てもわかるような大きな変化だった。
だけど今回の変化は遠目ではわからないけど人間として大きな変化だった。何よりもみんな肌のランクが一つないし二つ下がっていた。人によってはより綺麗になった人もいたけれど。大学生の時は粗削りだったのに年を重ねて、いろんな体験をして芯が出来上がった人もいる。風貌に興味がなくどんどんと老けていくような奴もいる。
僕はずっと老け顔で高校の時にはよく二十八歳だといじられたものだけれど実際にその年を超えると僕の心も体に追い付いてきた気がする。主に体の不調の方に。他の人に比べて顔の変化などは少なく、変わらないねと言われるがこの五年で見えないところで年相応に老けたと思っている。それもこれもみんな老け顔のおかげだと思えばいい話だ。
ところで本筋に話を戻そう。中学高校を過ごしたこの土地にも変化がある。もともとコンビニがあったところにはお洒落なカフェができている。田舎にいたものだから気づけなかったけれど経営元変化による雑貨屋の名前の変化とか。後はいつも行っていたカードショップが閉店してしまっていたとか。
わざわざSNSで確認してから店に行くわけでもなく、現地について初めて気が付いた。店は小さなプリン屋さんになっていた。本当にこぢんまりとしていたショップだった。今はケーキ屋さんにあるような展示と冷蔵が併用できるケースを一つポツンと置かれた寂しいプリン屋さんに代わっていた。正直なとこ、甘いものがあんまり好きじゃない。けど何となく、悲しくてプリンを一つ手に取っていた。
家に持って帰って食べよう。
自転車をこいでまた街をめぐる。高校生の頃によく通っていたラーメン屋さんにもまた訪れる。前はペロリと替え玉も食べられていたこの濃厚なラーメンも、今では一玉ですらおなかに溜まる。この一年で急に油がダメになった。
毎年会社の新人歓迎会は焼肉と、うちの上司は決めている。毎年食べられる量が減っている。大学生の頃はラストオーダーまでずっと注文し続けても満腹になることなんてなかったのに今では後輩たちに肉をもっと食べるといいよと進める側になってしまった。
僕も年を取ったな。
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