アンラッキー7選考委員会
黒幕横丁
/(^o^)\うわー
――俺は不幸だ。
空から謎の液体を被弾してしまった俺は、どうやっても死なないという不死の体を手に入れてしまった。
それからはその液体を空から溢したと証言しているお転婆な不審人物から殺されかけたり、お金を配りますよというコメントに乗ったら変なスパムメールが送られてくるようになったり、死んだはずのじーちゃんが『ワシじゃよ、ワシ、ちょっとやべぇアクシデントに巻き込まれているから二億ほど振り込んでくれね?』と電話で金を要求してきたり、もう嫌なことの連続だ。
――俺は世界一不幸なのかもしれない。
ある日、仕事からヘロヘロになりながらも帰宅し、ポストを開けるとそこには一通の封筒が入っていた。また店のダイレクトメールかと思いきや、差出人はUL7選考委員会という見覚えのないものだ。
封を開け手紙を開けると、俺の名前が入っており、『この度は私たちが運営しておりますアンラッキー7選出に貴殿がノミネートされましたことをお知らせいたします』という内容が書かれていた。
アンラッキー7ってそもそも何だよ。選考基準というかどうやって観測しているのか、ストーカーか? ストーカーなのか? と俺の理解が追いついていないため、すごい量のツッコミをしてしまう。
さらに手紙は続いていて、一週間後最終結果をお知らせしに参りますのでご自宅にて吉報をお待ちください。と書いてあった。
一週間後は偶然にも休みで家で大人しくしていようとしていた時だった。まるで謀ったかのように手紙を出してくるな。このアンラッキーなんとかというやつは。
一週間後。今日が手紙で最終結果を伝えにくると言われた日だ。
「で、なんでリュゼさんの結果が来るのに私がリュゼさんの家にスタンバイしないといけないんですか? 一緒に祝ってほしいんですか?」
俺の家には万が一の事態に備えて、俺がこうなった諸悪の根源である天使のミカを家に呼んだ。急に呼ばれたからかミカはとても不機嫌である。
「不幸な賞を祝って欲しいわけ無いだろ。万が一って場合もあるだろ。お前が先に俺のことを仕留めるっていうんだったら何かあった時は手伝え」
「へーい。じゃっ、待ち時間にココアでも飲む? 今ならイヌサフランたっぷり練り込んであげるよ!」
「息抜きに飲むものにすぐ毒物仕込もうとするのやめてくれない?」
テヘッと彼女は可愛いポーズでごまかす。ごまかすな。
そんなツッコミをしている中、呼び鈴が鳴った。
「UL7選考委員会の者です」
そう声がしてドアを開けると、そこにはスーツ姿の貧相な男性が立っていた。
「リュゼリア様ですね。この度のアンラッキー7選出の結果をお知らせに参りました。貴殿は……」
その時だった。居間の方からすさまじい勢いでミカが玄関へと飛び出し、貧相な男に飛びかかったのだ。
「ヒィッ」
男はいきなり押し倒され、顔面が青白くなる。
「カエレ、ここにお前の入るような場所はない。即刻立ち去れ」
まさに鬼のような形相で男を見るミカ。そのにらみ顔に負けたのか、男はとっとと逃げて行ってしまった。
「全く、油断も隙もあったもんじゃない」
「ミカさん、あの人お知り合い?」
「アレは悪魔だよ。まぁ低級のだけど。おそらく受賞とかにかこつけて取り憑こうとしたんだろうけど、大天使様のミカ様がいる限り、リュゼさんに取り憑こうなんて十億年早い。さ、悪魔は追い出したし、宴の続きをしよう。私特製のジャガイモの芽料理を作ってやる」
どうしてコイツは俺を仕留める料理しか思いつかないんだと思いながら、俺は部屋の中へと戻るのであった。
アンラッキー7選考委員会 黒幕横丁 @kuromaku125
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