『七呪《しちじゅ》の王』、魔王セブリナの呪い
柳生潤兵衛
ぐねる
俺は
今は夏休みで、一学期にようやく出来た彼女と遊びに行く為の待ち合わせ中。
この春休みに、神様に異世界へ転移させられて、魔王を討伐しろって言われて、魔王を倒して地球に帰ってきた元勇者だ。
向こうで何年も掛かって魔王を倒したのに、こっちに戻って来た時には、一分も時間が経っていなかった。
スキルも魔法も、向こうで手に入れた聖剣とかアイテムも、全て無くなっていたのに唯一残っているモノ……それは、魔王から受けた呪い!
☆
幼女のような見た目の魔王、『
俺の聖剣技奥義【サージ・オブ・ディバインクロス】《聖なる光の十字波》が魔王に炸裂して、消滅しそうになったその時。
「わっ、我が負けるとは……。だが! ただでは消えぬ! 勇者よ、お主には我を忘れられぬほどの呪いを掛けてやるっ! ふはははぁ、死ぬまで我が呪いに苦しむが良い! ふはは……は……」
☆
魔王が消滅した瞬間、俺は神に白い世界へ召喚され、そのまま地球へ帰された。
一瞬、あの世界でのスキルや魔法が使えればこっちでも無双できんじゃね? なんて思ったけど、何も無かった。
せいぜい度胸がついて、ヤンキーに絡まれても怯まないくらいだった……。
それなのに!
魔王の呪いだけは残ってやがった!
そうとしか思えない。
確たる証拠は無いけど、絶対にそうだという確信がある。
だって……俺が歩くと、絶対に7歩目で足首を捻るから!
7が付く歩数とか7の倍数で捻るとかじゃなくて、必ず7歩目で足首を捻るんだ。
止まった状態から歩いて7歩目。だから、一日何回も『ぐねる』。
どんなに注意していても『ぐねる』。
これが微妙にきつくて、参ってる。
「ごめ~ん! タッくん待った?」
「ううん、今来たとこだよ。さっ、行こうか?」
「うん!」
「……イテッ!」
「大丈夫?」
「う、うん。止まらないで歩こう」
俺は常に七歩目で足を『ぐねる』。
『七呪《しちじゅ》の王』、魔王セブリナの呪い 柳生潤兵衛 @yagyuujunbee
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