777文字で終わる世界滅亡

大柳未来

本編

 日本国内にて、古代言語が刻まれた石碑が出土した。

 これを解読した大学教授は、不可解なメッセージを受け取ることとなった。曰く、『777文字目に句点が打たれた時、世界は終焉を迎える』。

 「アンラッキー7」と命名された予言であった。


 かつて人類滅亡を予言したノストラダムスの大予言を連想させ、世間は考察で盛り上がった。しかし777文字目という言葉の意味について、明確な答えを導いた者はだれ一人存在しなかった。


 人類滅亡の機運が高まると起こるのは悔いの無いよう過ごすこと。例にもれず一人の男子高校生もまた己の悔いを残さぬよう、行動を起こしていた。


 とある高校の体育館裏で、一人の男子高校生が後ろ手を組み、空を見上げて立っていた。そこに女子高生がやってくる。手には手紙が握られ、「大事な話がある。体育館裏に来てくれ。七門七郎ななかどしちろうより」と、記されていた。


「大事な話って……?」

「俺、七瀬ななせのことが……好きなんだ」


 うら若き男女の甘酸っぱいやり取り。それを隣のビルの屋上から、覗く者が二人いました。一人は双眼鏡を持つ初老の男性。もう一人はスナイパーライフルを握り、伏せ撃ちの体勢を維持している屈強な男でした。


「先生、本当にあのガキを撃てばいいんですね?」

「あぁ。よろしく頼む」


 先生と呼ばれた初老の男性は、双眼鏡から目を離すと携帯を取り出しました。メモには例の予言が記されています。しかし、その内容は世間に公表されているよりも詳細なものでした。

『777文字目は、7にまつわる名を持つ男女が結ばれる時のことである』


「告白の返事さえ聞かなければ結ばれることはない。人類のために、犠牲になってくれ」

 その呟きと共に、凶弾は放たれた。弾は真っすぐに七郎の胸に突き刺さり、七郎は地面に大の字で倒れた。


「七郎くん!」

 とっさに駆け寄り、倒れた七郎を抱き寄せる七瀬。涙を流すと、彼女は熱い口づけを交わした。

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777文字で終わる世界滅亡 大柳未来 @hello_w

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