第20話
お風呂で垢を落としてさっぱりした所で、昼食をレナと食べる。
「それで? これからどうするの?」
食事をしながらレナに今後の方針を聞かれた。
「トリートのポーションがあるから即死さえしなければ大概のことは大丈夫だ。無理をしてでも突っ切る」
レナが嫌そうな顔をする。
「痛いんだよね?」
「痛いだろうね」
「苦しいんだよね?」
「苦しいだろうね」
「それでもやるの?」
「やるね」
レナが俯く。
「そう、だよね……やらなきゃ、いけないんだよね」
俺はキッパリと言う。
「レナは無理しなくていいよ?」
しかしレナは首を左右に振る。
「うぅん。弟の感じている恐怖に比べたらこのくらい」
そう言って唇を噛むレナ。まぁ正直な話をすれば彼女には付いて来て欲しくない。ポーションの消費が増えるからだ。でも彼女には色々と世話にもなっている。救いとまでは言わないが安心感もある。復讐に肯定的だしな。
まぁポーションの提供ぐらいはいいだろう。
それに彼女。俺より強いんだよな……
ちょっと自信なくすぜ。
まったくよぉ。
※
※
※
昼食を食べた後は、街の外へ移動した。
「さて。狩るぞぉ!」
レナが元気だ。俺は戦闘の方針を決める。
「編成はどうする? 敵が出たら二人で突っ込むか? それとも隠密行動?」
「突っ込もう!」
「弓はいいのか?」
「ゴブリンやコボルトの数が増えてるからね。正直一匹一匹を狩るって手間なんだ。突っ込んで一気に殲滅したほうが楽」
頼もしいことで。
こうして俺たちはポーションをカバンと、何時でも取り出せるように腰のポシェットに入れて強行にゴブリンとコボルトの群れを突破するのだった。
数の暴力。
戦いは数だとは良くぞ言ったものだ。
俺たちが塔に到着する頃には、ポーションがかなり減っていた。
「何本使った?」
俺が問うと、レナがカバンからポシェットにポーションを補充しながら言った。
「8本だね。残りが15本。どうする?」
塔を登るか引き返すか。
俺は塔を見上げて言った。
「引き返そう。塔に挑戦するなら、もっと実力をつけてからだ」
「うん」
レナが頷きながら言う。
「良かったぁ。これで突っ込もうとか言われたら止めないといけないところだった」
「俺は無駄死にがしたい訳じゃないから」
「うん。でもここに来るまでの無茶具合を見ているとね。不安になる」
「それはスマン」
素直に謝る。
「いいけどね」
レナはそこで一旦言葉を切ってポーションを見ながら言った。
「それにしても。改めてこの薬の効力は凄いね」
「あぁ。自信にして自慢の作品だ」
「でも、お腹がタプタプになるのは欠点だね」
「それなら傷口に掛けるだけにしておけ」
するとレナは首を左右に振った。
「うぅん。それはちょっと。やっぱさぁ常時回復って魅力なんだよね」
「まぁな。安心感が違う」
「うん」
塔の前で話をしていると、またゴブリンが出てきた。
「さて、引き返すか」
俺たちの実力では、まだまだ塔にたどり着くだけで精一杯だ。
くっそぉ。
何時か攻略してやるからな!
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