第21話
「それにしても、この魔物の数は異常だな」
夕方。街に戻ってきて冒険者ギルドで魔石を換金をしていると、ちょうど告知があった。ギルド職員が大声で説明している。
「本日より、街に非常事態宣言が発令されました。街を出る者はくれぐれも魔物に注意するように。冒険者の皆さんは積極的にこれを狩るようにしてください。それから魔物増殖の起点であると思われる天空の塔の調査をします。ランクが高い者はこれに参加するように。以上です」
非常事態宣言か……
まるで戦時だな。
戦争なんて体験したことないけど。
レナが不安気に俺を見上げてきた。
「まるで人間と魔物の戦争だね」
同じことを考えていたようだ。俺は「そうだな」と同意し頷きながら言う。
「だが、やることは変わらない」
目指すは天空の塔の最上階。レナは不安そうだ。
「たどり着けるかな?」
「たどり着くさ。絶対に……」
そのために来たのだ。レナに覚悟を問う。
「レナも、その為に頑張っているんだろ?」
「そうだけどね」
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だが街に非常事態宣言が出されて1つ困ったことが出来た。
「物が入ってこない?」
ホブスさんも困っているようだ。
「完全に入ってこないというわけではない。ただ街にたどり着ける商人の数が減っておるのは確実じゃ」
「どうするんです?」
「いちおう商人ギルドで大きなキャラバンを作って、それに徒歩の行商人を帯同させることで往来を確保はしようと言う話にはなっておる。それでも物資の値段が上がり始めておるな。まだ微々たる程度じゃが……」
ホブスさんの言葉に俺も危機感を抱く。トリートのポーションが作れなくなると、天空の塔の攻略はかなり厳しい。
「いったい天空の塔では何が起こっているんでしょうね?」
「さぁてな。冒険者ギルドで調査には行くようじゃが……」
「原因が分かるといいのですが」
ホブスさんが頷く。
「レノルさん。くれぐれも気をつけるようにな。恩人に何かあったら申し訳ない」
俺は苦笑いを浮かべる。
「それも覚悟ですから」
「そうなんじゃがな。それでもじゃ。ここに心配している人間がいることは忘れんようにな」
「……はい」
俺は小さく頷くのだった。
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さて、消費したポーションを補充しなくてはいけない。現在の材料の在庫を確認。20本ほどは作れるだろうか。
2日ほどで作れるだろう。
俺は薬草をすり潰す作業から行う。
ゴォリゴォリゴォリと。
「…………」
そういえば元親友。オーランドのバカは、俺の鑑定能力が無い状態でポーションの最適解は求められているのだろうか?
謎だ。
俺でさえ鑑定能力の解析を使ってでしか、調合具合の状態の善し悪しを見極められないのに……
案外。ポーションの再現実験で四苦八苦してたりしてな。
「だったら笑うけど」
まぁどうでもいいけどさ。
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