第14話
「ん……」
あれ?
俺はどうやら意識を失っていたようだ。
辺りの様子を窺う。
異常は見あたらない。
「ふぅ……」
朝露のついた葉っぱの水を舐め取る。ベリーも見つけた。運が良い。
俺はベリーに毒がないかを確認してから食べた。
森を彷徨って4日目。現在は山の下り坂を進んでいる。昨日は大きな木の根で休んだ。
「今日あたりには麓に降りたいが……」
幸いにして山の頂上から麓の場所に街があるのは見えた。天空の塔らしき建造物もだ。とにかく街だ。街に到着し無くては死ぬだけだ。
俺はひたすら山を降りるのだった。
※
※
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山を降りた先には城壁に囲まれた街があった。しかしそこで問題が発生した。
「入税料!」
街に入るのに税金がかかったのだ。本来なら冒険者には掛からないのだが、俺は冒険者証を盗られている。兵士に事情を説明する。
「盗賊に襲われて盗られたんです! 何とかなりませんか?」
「ならないね。お金を工面するか、どこかの街で冒険者証を再発行するかだね」
「そんな無茶な! これからまた山を越えろと?」
「まぁそうなるな」
「見ての通り何も持ってないんです! このままじゃ死んじまう!」
しかし兵士は無下もない。
「スマンな。規則だ」
そう言って、俺を手で追い払う。
「そんな……」
絶望。この世に希望はないのか!
俺は目の前の街の大きな扉を見る。すると兵士が剣呑な気配を発した。
「馬鹿な考えはやめろ」
馬鹿な考えを起こさせるようなことを言っておいて!
俺が怒声を発しようとしたところで、後ろの方から呼び止められた。
「おや。あの時の」
俺が振り返ると、そこには老人がいた。俺が以前に助けた隊商だ。老人が首を傾げる。
「うん? どうしたね?」
俺には老人が救いの神に見えた。膝から崩れ落ちて老人に事情を説明したのだった。
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