第14話


「ん……」


 あれ?


 俺はどうやら意識を失っていたようだ。


 辺りの様子を窺う。


 異常は見あたらない。


「ふぅ……」


 朝露のついた葉っぱの水を舐め取る。ベリーも見つけた。運が良い。


 俺はベリーに毒がないかを確認してから食べた。


 森を彷徨って4日目。現在は山の下り坂を進んでいる。昨日は大きな木の根で休んだ。


「今日あたりには麓に降りたいが……」


 幸いにして山の頂上から麓の場所に街があるのは見えた。天空の塔らしき建造物もだ。とにかく街だ。街に到着し無くては死ぬだけだ。


 俺はひたすら山を降りるのだった。



 山を降りた先には城壁に囲まれた街があった。しかしそこで問題が発生した。


「入税料!」


 街に入るのに税金がかかったのだ。本来なら冒険者には掛からないのだが、俺は冒険者証を盗られている。兵士に事情を説明する。


「盗賊に襲われて盗られたんです! 何とかなりませんか?」

「ならないね。お金を工面するか、どこかの街で冒険者証を再発行するかだね」

「そんな無茶な! これからまた山を越えろと?」

「まぁそうなるな」

「見ての通り何も持ってないんです! このままじゃ死んじまう!」


 しかし兵士は無下もない。


「スマンな。規則だ」


 そう言って、俺を手で追い払う。


「そんな……」


 絶望。この世に希望はないのか!


 俺は目の前の街の大きな扉を見る。すると兵士が剣呑な気配を発した。


「馬鹿な考えはやめろ」


 馬鹿な考えを起こさせるようなことを言っておいて!


 俺が怒声を発しようとしたところで、後ろの方から呼び止められた。


「おや。あの時の」


 俺が振り返ると、そこには老人がいた。俺が以前に助けた隊商だ。老人が首を傾げる。


「うん? どうしたね?」


 俺には老人が救いの神に見えた。膝から崩れ落ちて老人に事情を説明したのだった。

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