森の脱出戦⑥

 ギヨウ達が宴をしている頃、敵の盗賊団の長であるベギニは、まだ森の外にいた。

 荒野で、簡単な野営所を作って、その天幕の中で悠々と過ごしていた。

 ベギニの近くでは、近隣から攫った女が裸でベギニと繋がっていた。


「あっ!やめ!」


 ベギニに後ろから貫かれながら、女は懇願し続ける。突然村から攫われれば、誰だってそういう反応をするだろう。


「ちっ!うるせえな。久しぶりに牢から出たんだ。楽しませろや!」


 そんな女を、ベギニは容赦なく殴った。


「うう……」

 

 泣きながら呻く女を相手に、ベギニは腰を動かし続ける。


 その天幕の中に、ベギニの配下が飛び込んできた。


「頭!森の中で待ち伏せしてた奴等の死体が見つかりました」


 報告を聞いたベギニは、一時的に女をベッドへと離すと、部下の方へと向き直った。


「ちっ!無能な奴等だ。もう見張りをたてるだけでいい。夜のうちに奴らが脱出だけはしないようにしろ」

「は、はい!」


 ゼルバを取り逃がしたベギニだが、実のところ、全く焦ってはいなかった。


(そうそう簡単に終わっちゃつまらねえからな)


「あ、ああ!」


 話が終わり、再び攫った女に対し、行為を再開しながら、ベギニは思い出す。


 五年前、ベギニは盗賊団の長だった。

 正直に言えば、盗賊団は大きかったし、捕まるとは思っていなかった。

 しかし捕まった。


 それは、いつも通り、村を襲おうとした時の事である。

 いつも通り、斥候に村を確認させ、いつも通り、後から全員で村へと入ったはずであった。

 しかし、待ち構えていたのは村人という餌ではなく、ゼルバ率いる国の軍であった。

 ゼルバの軍団は、村人に偽装していたのだ。

 数も相手の方が多かったし、虚もつかれた。

 ベギニはなすすべなく捕まったのである。


 それから、ベギニは牢の中で、五年を過ごさせられることとなった。

 本来であれば、死ぬまで牢に投獄されるはずのベギニであったが、取引を持ち掛けられた。

 相手は誰だかわからない。


(だが、俺と同じクズなのは間違いねえだろうな)


 同じ国の将軍を引きづり降ろそうと考える者である。ろくな奴ではない。

 金と兵を渡され、牢の中にいた生き残りの仲間も解放された。

 代わりに、ゼルバの首を取って来いと言われ、ゼルバの護衛が薄くなるタイミングも伝えられた。

 ベギニには断る理由はなかった。


(このままトンズラこいても良かったんだけどな)


 だが、ゼルバの首を取れば、追加で報酬をもらえ、さらにベギニの恨みだって晴らせるのだ。

 用済みになったら殺される可能性もあるが、それはゼルバの首を取ってから考えればいいだろう。


 だから、ベギニは外で更に仲間を集め、ゼルバを殺しに行った。

 味方は100人。ゼルバの護衛は20人程度。

 逃げられるとは思わなかった。


(念のため半分を森に伏兵させておいたのが仇になったのか……良かったのか……)


 実際には、50人で襲ったわけだが、思った以上に奮戦され、見事に取り逃してしまった。

 

(特にあの女がな)


 若い女であり、ベギニが捕まった時にはいなかった女である。

 他の護衛は大したことなかったが、あの女が手早く動いたせいで、ゼルバを森に逃がしてしまった。


(ガキは趣味じゃねえが、あの女をゼルバの前で犯したらいいだろうなあ~)


 そんなことを考えると、ベギニのものは更に大きくなってしまう。


「ああああ!」


 女が嬌声を上げると、ベギニは五年分のものを吐き出した。

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