第22話
あれ以来アル兄様に魔法を教わりたいという話は頓挫したままで、私はシズエ先生に勉強を教わるだけの日々だ。
父である皇帝は週の半分は私のところに来ているんだけど……暇なのか?
いや、暇じゃなさそうだけども
シズエ先生いわく、大陸でも一番大きな領土を持つこの帝国は他の追随を許さない強い軍隊を保持し、経済面でも圧倒しているらしい。
だからこそ各国からの妻を迎える必要があったし、それぞれの国に対して平等に接する必要もあるんだってさ。
ようじょむずかしいことよくわかんなーい。
ってできたら良かったんだけどね……。
ちなみに長男であるヴェルジエット=ライナス兄様には婚約者がいて、帝国の宰相を務めている筆頭公爵家のご令嬢なんだってさ。
勿論私は会ったことなどない。
他の兄たちも婚約者候補は既にいて、皇太子の成婚を見届けた後にそれぞれ結婚を……って話になっているらしい。
ちなみにアル兄様から下、つまり四から七番目までがフリー。
パル兄様に関しては第二妃が自分とこの生国から妻を迎えるんだって聞かないって話だよ。兄様は会ったことがない婚約者候補だそうだけど……諦めてる感がすごい。
「ヴィルジニア」
「アル兄様!」
そんな中でアル兄様が私の部屋に来てくれた。
自分の部屋だとまたオルクス=オーランド兄様たちが来てしまうかもしれないから念のためだって。
「ごめんね、魔法の勉強がしたいって言ってたのに……遅くなっちゃったね」
「ううん、いいの。私があの時、泣いちゃったりしたから」
「いいんだよ、ヴィルジニアはまだ小さいんだからいきなりいろんな話をされてびっくりしちゃったんだろう?」
うう、アル兄様が優しい。
約束通り私と二人の時は箱も外してモフモフもさせてくれるし。
はあ、癒し……。
(ハッ……!!)
アル兄様のモフモフに癒されていたら視線を感じた。
思わずそちらに視線を向けると、じとっとした視線を向けるシエルがいるではないか。
「シ、シエル、これは、あの……」
ちょっと待て、私は何故にペットのフクロウに言い訳をしようとしてるんだ。
貴方以外をモフってごめん?
いやなにそれ浮気現場を押さえられたみたいな台詞だな?
けどなんか謝らないといけない雰囲気!?
「ああそうだ、ヴィルジニアの勉強のこともなんだけどそのフクロウに関してもちょっと気になったことがあってね」
「え? シエルのこと?」
「ホーウ?」
慌てる私をよそにのんびりとした口調でアル兄様はそう言ってシエルを見た。
シエルも驚いているようだ。
「シエルは鳥人族じゃないかなあって」
「鳥人族?」
「ホォーウ?」
「ンッ……」
同時に首を傾げる私たちに、後ろでロッシが笑う。
あとでテトに叱ってもらおうそうしよう。
「そう。鳥人族。獣人族に一応分類されているけれど、まるで違う生態を持ち、魔族に近いと言われている種族だよ」
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