第9話
五歳になるのが楽しみとなったのはいいが、現実としては何をするのか?
わらかないことはシズエ先生に聞いてみた。
かなりマイルドな表現をされたけど、五歳までに子供たちに何かしら異常がなければ健やかに成長していけると判断されて神官から洗礼を受けるそうだ。
そうしてようやくこれから国のために尽くす皇族の一員としてまた後日、紹介されるらしい。
なんだ、何かしらの異常って!!
シズエ先生は本当はこんな話をするつもりはなかったようだけど、私が年齢に比べるととても落ち着いているから話しても問題ないだろうと思ったようだ。
「簡単に言うと、人は生まれながらに魔力を持っております。その属性や量については不安定で、五歳頃までには落ち着くのですが……幼いうちは暴走しやすく、身内が傍にいることで鎮めやすいとされているのです」
「つまり、親元」
「……姫様は本当に聡明でいらっしゃる」
「でへへ」
褒められちゃった!
こらシエル、残念なものを見る目を向けるでない。
我、皇女様ぞ?
(うん? でも私は母親がいないわけで……そうなると直の肉親は父か、兄たちになるけど私はここに一人だな?)
暴走したらどうするつもりだったんだろうか。
聞けば、私の母親は国内貴族ではあるものの身分が低く、城内に足を踏み入れる資格もないらしい。
そのため、乳母もお乳の出る若い女の人でもなく、しわっしわのおばあちゃんである。
いや、おばあちゃんが悪いって意味じゃないよ?
優しくて大好きよ?
(山羊乳で育ったらしいんだよなあ)
哺乳瓶生活だったのちゃんと記憶にあるからね。
乳母ってそんなもんだっけって思ったもんだよ。
(うーん……?)
なんでだろう、この世界の常識なのか、それとも私に関して何か理由があってのことなのか。
父親は溺愛してくれているとは思うけど、それはペットを可愛がっているようなもので……娘を大切にしているのとは別なのだろうか。
私は首を傾げる。
考えても答えは出そうになかった。
となれば、今ここで悩んだところで時間の無駄だ。
私は頭を切り替えて質問を変えた。
「……洗礼の、その後は?」
「魔力の適性検査をいたします」
きたきたきたーあ、魔力!
皇族はみんな何かしら能力が高いっていうけど、それは国の祖である初代皇帝がとても強い魔力を持っていたから、それが脈々と受け継がれているらしいんだよね。
私にも何かあるんだろうか!
ちょっとだけ楽しみだ。
だってほら、すごい魔法使いになれなくても使ってみたいモノじゃない?
それに万が一役に立ちそうな能力ならそれを磨いて自立の一歩に……なんてね。
具体的には何も思いついてないけど!!
(……そういえばその洗礼が終わればアル・ニア兄様に会えるのか)
まずはアル・ニア兄様に会ってから、他の兄たちのことを教えてもらって……って感じになるだろうか?
父のお勧めではあるものの、あの父のお勧めだからなあと正直思っている自分がいるのだ。
「さあ、姫様。お勉強を始めましょうか」
「はあい!」
むむむ、考えるべきことはたくさんあるぞ?
しかし今はやれることだけやっていくしかないな!
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