第4話
家庭教師の先生は、優しいおばあちゃん先生だ。
前世でお世話になったシズエさんを彷彿とさせるので、心の中でシズエ先生って呼んでいる。
ちなみにお名前はシーズニエ・シィズというのでこれはもうほぼシズエさん。
シズエ先生は私に基本的な読み書きと、簡単な礼儀作法を教えてくれる。
本格的なものはもう少し先のことらしく、今は幼児教育というやつなんだろう。
私は皇女だから、いずれは政略結婚ということもあるのだろうか。
七番目の子供だけど、唯一の皇女ってことでそういうのを求められる日もあるかもしれない。
今世での目標をいくつか立てた。
・家族と仲良くする、無理なら互いに距離を取る
・できれば自立、もしくは仕事がしたい
・ペットを飼いたい
・あと恋愛したい
考えてみたけどこの四つしか出なかった。
小学生の夏休みの目標か!
うんまあ、中卒で高卒資格を取るための勉強をコツコツしてはいたけど、将来何になりたいとかそういうのは考えたこともなかったから……転生してまで何か成し遂げたいかって言われると難しいっていうか……。
これがね、自分が憧れてた物語のキャラクターだった! とかならまだいろいろ夢が広がったと思うのよ。
でも残念ながらそういうんではなさそうだし、だとしても私は美幼女で皇女っていう立場である以上そこまでほっつき歩ける気配はない。
もしもこの部屋の外が戦乱の世で危険極まりない世界だったらどうする?
引きこもるしかないよね。
今世、どうあっても生まれがよろしい上に父親が権力者で溺愛されているとか温室育ちになる予感しかしないのだ。
ある程度は仕方ないにしても、やっぱり何でもかんでも支配されるのはいやだ。
「先生?」
「はい、どうなさいました? アリアノット様」
「私のお兄様たちってどんな人ですか?」
「ご興味がおありですか」
「はい」
シズエ先生はにっこりと優しく微笑んだ。
そして私に読み聞かせていた本をぱたりと閉じると、教えてくれた。
長男ヴェルジエット・ライナス、第一妃の息子。王太子。二十五才。
次男オルクス・オーランド、第三妃の息子で二十才。
三男パル・メラ、第二妃の息子で十八才。
四男アル・ニア、第五妃の息子で十八才。
五男シアニル・ハーフィズ、第六妃の息子で十七才。
六男カルカラ・ゼノン、第四妃の息子で十六才。
そして私が第七妃の娘で三才と。
見事なまでに年齢差ア!!
「皇子殿下は皆様揃って見目美しく、また聡明であられますよ」
「へえー」
なんか間抜けな声しか出なかったが、驚きというかなんというか。
聞けば聞くほどみんな優秀っぽいんだよな……大丈夫か? 私。
長兄は案の定王太子としてお仕事していて、次兄はそのお手伝いをしているんだとか。
三番目と四番目の兄は魔法使いになるらしく、五番目の兄は芸術、六番目の兄は武術に明るいんだとか。
ええー……才能一家かよ!
「皆様、アリアノット様がお生まれになった時には大変なお喜びようでした。お兄様方とお目にかかれる日は遠くございませんよ」
「そうなの?」
「はい。この国の皇族は五歳まで親元で育った後にお披露目となります。アリアノット様は利発ゆえ、多くのことを疑問に思われたご様子ですが……気になることはどんどん陛下にご質問なされるがよろしいかと。勿論、わたくしめも答えられることはお答えいたしますので」
「ありがとう、先生!」
なるほど、五歳か。
ならとりあえず父との関係は良好なわけだし、兄たちとのことはこれからとして……。
(そうか、じゃあまずはペットだな!)
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次は22時更新だよ(*'ω'*)
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