第3話

 デリアの反応からわかった。

 多分これは、父親のせいなんだろうな。

 そりゃ皇帝が『だめだ』と言えばこの城にいる人たちは従わざるを得ないだろう。


 そうじゃなきゃ、おかしいんだよ。

 だってさあ、母親をなくした赤ん坊を、他に六人の奥さんがいて誰も引き取って育ててないの。

 勿論、国の方針とかそういうことはあると思うけど……。


 それでも合理的に考えたら、侍女たちに丸投げだけじゃなくて家族としてそれなりに扱おうとするもんじゃないの?

 それとも皇帝の寵愛を一身に受ける幼女なんてみんな嫌いなわけ?


(ワォ、人生ハードモードの気配がしてきた……!)


 でもさあ、そろそろ私は私のことを『皇女』という敬う存在として見てくる使用人ではない、別の立場の人たちと触れあいたい。

 そういう意味では父がまさしくそれのできる相手なんだけど、ひげもじゃオッサンと触れあうだけで幼女の情操教育ができると思わないでくれ。


 できたら同年代と会ってみたいけどそれを口にしたらつまるところ皇帝の影に怯えたり擦り寄る系の大人たちに連れられた幼女たちってことだろう?

 違うんだそういうんじゃないんだよ私が求めてるのは!


「デリア、だめ?」


「……陛下に、確認してみませんと……」


 ああ、うん。デリアを困らせたいわけでもないんだよなあ。

 とはいえ父は私を溺愛しているんだから、多少はお願い事も聞いてくれるだろうし……それを前提に考えよう。


「アリア、嫌われてる?」


 子供らしく。アニメで見たあざと可愛い幼女を思い出せ……!!

 それを自分がやっていると思うと宇宙猫状態にならざるを得ないが、大丈夫だ今だけ私は大女優……!

 学校でも演劇系は端っこの村人(A)とか木(その一)だったけどね!!


 しかし今の私は美幼女なのだ!


「嫌われてなど! そのようなことは、決してございません!!」


 デリアは困ったようにそう言ってくれたし、なんだったらさっき『どの兄に会いたいのか』というような質問をしてくれたということは兄たちの中には私のことを気にしている人がいるってことではなかろうか。


 幼女だからそんなことを考えていると悟られてはいないが、私は考える。


(そもそも七人も妻をもらった理由が『娘がほしいから』で、それぞれの奥さんに一人ずつ子供がいるっていう状態はある意味で不公平がないようにしているのかな?)


 それとも子供ができにくいか、夫婦仲が良くないとか?

 ラノベとかアニメとかで考えると、大体こういう王室とか皇室って継承権争いがどうのこうのでドロドロしていたりするんだけどうち・・はどうなんだろうか。


(まさかの溺愛が過ぎて私を女帝にしようとか父が言い出していないか若干心配になってきた……!)


 うーむ。

 これは一人で考えても仕方ない。


 もうすぐ家庭教師の先生が来るから、その時にでも聞いてみよう!!


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次回18時更新です

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