第7話 こんなに出来ないのは僕が全部悪いからですか?

1週間休んでみて思ったのは、休んでもパワハラされたことを忘れることは出来なかったってことだった。

その後に仕事を辞めるべきだったのかもしれない。

だけど、僕はそこでは辞める決断をしなかった。

その後に、ウズノ老人ホームの倉野主任と相談してシフトを変えてもらった。

日勤から遅番に早番を経験することになった。

だけど、日勤より遅番や早番は目まぐるしく忙しさが増していた。

初めはお風呂介助に入っていたんだけど、僕が入ると終わるのが遅くなるとか、利用者様の髪を乾かすのが出来てないとかで、3週間したら外されて違う業務をすることになった。

お風呂介助の時は先輩職員さん皆さんが殺気だってたから、色々怖かったのと自分がおっとりしすぎたのも問題があったのかもしれない。

今更振り返ってもどうにもならないんだけど、精一杯だったあの頃の自分に一言何か言うとしたらこれかな。

『Twitter始めろ』

だって、あの頃の自分は自分の首絞めて生きてきたから、息苦しさがあって家に帰っても仕事のこと考えて生きてたから、辛いのは自分だけじゃないってTwitterがあったら分かったと思う。

話は戻りますが、何がお風呂介助の時に難しかったかと言うとまず2つあります。そして、怖かったことが1つあります。

まず最初の2点のうちの1つは利用者様の髪を乾かすことでした。

僕の手の動きが良くなかったのでしょうか。

髪の毛が乾かない乾かない。

しまいには利用者様が自分でやった方が速いわとやってしまう方もいて、僕ってなんでこんなに出来ないんだろうと自分で自分を言葉で傷つけていました。

そして、2つ目は乾かした髪にヘアゴムで結んでと言われてもらったゴムのゴムが繋がっていなかったんです。

ただの一本の糸でびっくりでした。

あまりの驚きに僕言ってしまいました。

『すいません...どうやって結んだら良いですか?』

そしたら、利用者様がこうやってこうやるのとご自分でやられたので、こんな高度なヘアゴムを扱えるなんてなんてすごい人なんだと少し尊敬したのに加えて、本当は僕がやらないといけないことだったのにと落ち込んだことの1つでした。

そして、最後になりますが怖かったことは電話対応でした。

その日はお風呂介助に入っていたのですが、何もできない僕はただひたすらに先輩から言われたことをひたすらにこなして来ました。

周りが高齢者の方の衣服の脱ぎ着をしているなか、ピッチという名の職員間での電話が鳴りました。

誰も手が開かないからと怖めの先輩である倉野先輩が怒鳴るように言いました。

『取ってぇ!!!』

僕は恐る恐る取ると電話越しに向こうから言ってきました。

『〇〇ですけど』

『はい...』

『今、なかに入れるか聞いてくれますか?』

『分かりました』

そう言って、僕は倉野先輩に話そうと言おうとしたのに言葉が首元まで出ているのに喉まで通らない。

話さないでいると、倉野先輩はイラだったのか言いました。

『何ッ??なんかいってたなら早く言って!』

ようやく僕は声に出して言いました。

『なかに入れますかって言ってます』

『入れるって言っといて』

僕は電話でそのことを伝えた後、その後どうしたかは記憶がありません。

ただそれ以来僕は電話で親以外に誰かに連絡することがとても怖くなってしまったんです。

怒鳴られたことが原因とは言いませんが、僕は人の苛立ちを敏感に感じてしまい、誰にも何にも言われていないのに、いつの間にか僕は働き始めてから萎縮していってしまったのです。

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