第4話 介護職始めて無資格って1番やばい気がする

4月からの仕事内容は正直3月よりも厳しかったと思う。

明らかに3月のバイト形態から正社員になった瞬間から、対応が変わったのは言うまでもない。

周りからは『頑張って』とか『期待してる』とかすごく言われた記憶がある。

ただそんなに期待されても困るって話だよ。

周りは介護福祉士って資格やヘルパー2級とか持ってて僕なんか無資格で来たただの新人なのに、臨機応変に動いてとか無理な話だよ。

1番記憶にあることは3月のことだけじゃないんだ。

もっといっぱいあるし、失敗も沢山した。

僕は休職中にTwitterをやるまで僕のような悩みを持っている人は僕1人だと思っていた。

僕は何も資格がなくて真っさらな状態だったけど、ウズノ老人ホームでの経験は今までに経験したことないものばかりだった。

例えば、食事介助で利用者さんに声かけをしながら食べてもらうとかやったりした。

最初は先輩のやり方を真似たりして、食べてもらってた。

そのうち介助が必要な利用者さんに水分を口から摂ってもらうんだけど、その利用者さんは口が上手く開かなくて、先輩曰く『口の横から流し入れるんだよ。ほら、やってみて』って言われた。そんな慣れれば分かるみたいな言い方されても全然分からなかった。

話は巻き戻るけど、食事介助って飲み物を飲んでもらうだけじゃなくて、食べてもらうのもひとつだよね。

それで言うと段々と食事介助の補助みたいなのが出来てくると言われる事があったのは僕の老人ホームだけなのかな。

『じゃあ、今度はご飯が食べれない人に食べさせましょう』みたいな事言われたんだ。

それで、利用者さんの中で手がむくんで使えない人がいて、その人の食事介助をすることになったんだ。

最初は勿論食べてくれるよ。

でも、段々と食べたくないと言われて食べてもらえなくなる。

最初は僕もどうしたら食べてくれるんだと苦しんだ。

でも、周りの先輩職員さんを見て気づいたんだ。

少しずつ違うものを食べてもらえばいいのかなってね。

そしたら、少しだけどその利用者さんは食べてくれた。

あとは、よく先輩が言ってた言葉を真似してた。

『〇〇さん、これとこれ食べたら最後にしましょう。食べて下さい』ってね。

だけど、食べる時間が確か40分って決まってて、その手の動かせない利用者さんに急いで食べさせてって言われた時に急がなきゃって思って、ハイペースで食べてもらってたらその人むせてしまって慌てて先輩職員さん呼んで、なんとか利用者さんは大丈夫だったんだ。でも、それから僕は自分で食べる飲むが出来ない人の介助がとても怖くなってしまって、そのことを日報で書いたらコメントでその時は呼んでくださいの一言だったんだ。

ただそれだけって、それは正しいことなのかもしれないけど僕は今資格がないまま介助をしていて良いのだろうかって真剣に考えれば考えるほど僕は介護はインシデントと隣り合わせなような気がその時はしたんだ。


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