青春のアンラッキー7

水乃 素直

青春のアンラッキー7

 なんで俺は不幸な目ばかりに遭うんだ。

 暇つぶしにパチンコに行ったら、いつもどおり大当たりに化けてしまった。

 1000円が気づけば何十万にもなってしまった。

 親から「金はもらってこい」と言われているため、今日も紙袋に金を詰めていた。

 はしたない、こんなに金が欲しいわけではない。


 見るからに大人のお姉さんが寄ってきて

「ねぇ〜、お兄さん。私とふたりでいいこと、しない?」

 なぜか痴女に絡まれた。女と遊びたいわけではない。


 俺はカードゲームオタクだ。

 集め、戦うのも好きなのだ、いや、好きだった。

 しかしながら……俺は、いつも不幸であった。

「開封した1パックで、一番強いウルトラレアカードを引き当ててしまい、友達からはぶられる」

「試合中、自分が神引きを連発し、相手のデッキが事故って易々と勝ち続けた結果、地元のカードゲーム大会全てが出禁になってしまった」

 俺は自分の不幸が憎いのだ。

 周りの人間はよってたかって「運がいい」などと言うが、実力が評価されないのは辛い。


 家に帰ると、妹が部屋でカードゲームと睨めっこしていた。俺を見ると、顔を綻ばせ、

「にーちゃん! カード引いてー!」

「いやだよもう、自分の力で引けよ」

「やだやだ! おにーちゃんが引かないと欲しいのでないもん! 出してよ」

 妹は駄々をこねた。拒否した。

「なんでだよ!」

「ふぇ〜…おにーちゃんのいじわる…!! うぇーん!!」

 妹が泣き出した。母親から声が飛んでくる!

「こら! 泣かせないの!」

 母親が、小顔ローラーを使いながら、こちらを見た。この小顔ローラー、マッサージ機は、全部俺の名前を使った懸賞ハガキで当選したものだ。

「もう母さんもいいかげんにしてくれ」

 父親も声がする。

「今日の晩御飯はどうする? 松坂牛にするか? それとも宮崎牛にするか?」

 もちろん、これも俺の名前で当てられたもの。

「俺の不幸で好き勝手遊びやがって!」

 俺は今日も不幸だ……

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