47.「新たな因縁、発覚……?」

「よーし、ボイトレやろっか!!」


 リナはブリッジしたまま、活き活きと楽しそうに語る。

 えっ、この状況で?

 エドマンドが気絶してて、レイラが泣いてるこの状況で??


「そうだね。僕もぜひ聴かせてもらいたいよ。特に、レディの声をね……」

「あ? 調子乗ってんじゃねぇぞコラ」


 ニコニコと笑うアルバートに対し、エドマンドを支えたままメンチを切るゴードン。

 これ……ゴードンがアルバートに嫉妬してくれてる……って……コト……!? なんて考えると情緒がぶっ壊れそうなので、あえて考えない。落ち着けわたし。平常心平常心……。


 ……が、そこで、予想外の事態が起こる。


「……アルバート、アンタはどっか行ってて」


 いつも明るいリナが、明らかにトーンダウンした口調で告げた。


「おや? どうしてだい?」


 対し、アルバートはいつも通りだ。飄々と笑いながら、落ち着いた様子で佇んでいる。


「アタシ、アンタのことまだ許してないから」


 リナの表情も、いつになく真剣だ。ブリッジしてるけど。

 ……こ、これは……またしても、わたし達の知らない因縁が……!?


「……? 全く心当たりがないね」

「はぁ!? ふざけないでよ!」


 アルバートは首を捻っているけど……たぶんやらかしてるよねコレ。アルバートだし。


 も、もしかして、リナはアルバートの被害者の一人……とか?

 明るい性格で油断していたけど、本当はアルバートに無惨に殺されてしまった被害者で、悲しい過去を陽気なフリで乗り切っていた……なんてことは……


「アンタ、この前アタシのペット食べちゃったじゃん!?」


 別になかった。


「あのお手て、可愛くてお気に入りだったのにー!」

  

 ……なんて?

 お手て? 手をペットにして飼ってたの?

 生首大好き令嬢が言うのもなんだけど、その趣味大丈夫? サイコ?


「館の中に手や指があれば食べるのが当然だろう? じゃないか」


 いや、何が当然で何がもったいないのか全然わかんないんだけど。


「なんでよッ! お手てだけがちょろちょろ動いてるの可愛かったんだよ!? イカす名前も考えてる途中だったのに……! 『ザ・ハンド』とか『キラークイーン』とか……ッ!」


 リナ、もしかしてスタンドバトル漫画的なもの読んでた?


「……あ、そういや俺の片眼も最近見つからねぇんだよな。まさか……」

「ごめんね。それに関しては僕とは無関係だ。君のはそんなに美味しくなさそうだし」

「あれ、なんで俺フラれてんの?」


 ……あ。ゴードンの片眼は……それは、たぶん……わたしの部屋ですね……ハイ……。

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