18.「コミュニケーションって難しい」
結局、ゴードンとの関係性を進展させることはできなかった。
……恋って、難しいね。
ゴードンはうろたえつつもコレクションの手入れに戻り、わたしは逃げるように廊下に出た。
腹を抱えて爆笑しているニコラスをスルーし、広間に戻る。入口まで来たところで、エドマンドと鉢合わせた。
「……良くぞ参られた。我らが
どうしよう。すごく、めんどくさい。
エドマンドは悪いやつじゃない。あくまで復讐に取り憑かれているだけで、本来は真面目かつ誠実な騎士だ。しかも美男子。
そりゃ二次創作で「くっ……! 殺せ……!」って言わせられまくるわけだよね。
「わたくし、疲れていますの。そっとしておいてくださいます?」
「理解した。復讐の刃は既に研ぎ澄まされている」
でも、ひたすらめんどくさい。
話通じないし。
「────」
……と、横からレイラがひょこっと顔を出す。
「……失礼。『こっちにおいで』とのことだ」
……ははぁ、なるほどね。わざと翻訳を挟んで、ダル絡みから助けようとしてくれてるわけだ。
ほんとに良い子だなぁ。レイラちゃん。
「────、───────、──────────」
「『エドマンドさん、伝え方は変だけど、今のは【分かった。気にせずゆっくり休むといい】って言いたかったんだと思うから……』とのことだ」
翻訳で更に翻訳されてる!? 何その入れ子構造!?
レイラもレイラで、今日はやけによく喋るね!?
……って、待って?
エドマンドとの意思疎通は無理ゲーだと思ってたけど、もしかして話し方が独特なだけで、意識自体はハッキリしてたりするの……?
そういえば、ゲームでも彼のルートはレイラと並んで切ないと評判だ。主人公を守って消滅していくスチルを見て、私も何度泣いたか分からない。
もっとも、主人公が「怪異」そのものである以上、エドマンドが身を
話はずっと通じなかったけど、確かに、行動自体には正気の
でも、時々自分だけの世界が見えてるのも間違いなさそうだし……。
……ええい、悩んでても仕方ない。物は試しだ! レイラを挟んで対話してみよう!
「あの……もう少し分かりやすく話してくださらない?」
「我が無念は極まれり。憎悪は魂を
「───────」
「……む。『【申し訳ないが、自分ではどうにもできない】って言ってる』……とのことだ」
う、うーん。どうにもできないか……そっかぁ……。
「く……っ、う、ぐあぁあぁッ」
えっ……なんか、唐突に頭を押さえて
何その葛藤しぐさ。
「13……12……」
レイラちゃーん!?
突然数え出すのやめてー!?
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