15.「これぞ神」
「ジブンはかつて、英国各地を回り、『怪異』の調査をしていたんだ」
正体を明かしたニコラスこと「この世界の神」は、聞かれてもいないのに
「……えっ、音楽家じゃなかったの」
「ヒヒッ、音楽家だよ? 『怪異』の調査はあくまで趣味さ」
「マニアックな趣味だね……」
いやまあ、生首集める女に言われたくないかもだけどさ。
「人の不幸は蜜の味って言うだろう? ヒヒッ」
「あ、そんな理由だったんだ……」
「音楽にも存分に詰め込んだよ。売れなかったけど」
まあ、
「惜しいねぇ。もっと後の時代に生まれていたら、イラスト描いて機械音声に歌わせて、物語仕立てのMV作って、ミリオン再生も狙えたのに」
「う、売れてそうー!!」
そっちの才能は割と真面目にありそうー!
何やかんやで多才だし! 別の意味で神になっちゃってるし!
「さて……各地で『怪異』を調査していたジブンは、世紀末……具体的に言うと1999年12月31日のちょうど日付が変わるあたりに、うっかり足を滑らせて事故死してしまった」
「結構最近の人だった……」
てっきり、それなりに昔の人だと思ってた……。
なるほど、そりゃクラシック路線で売れるのは難しいかもね。
「それで、事故死した場所がちょうど、かつて『レディ・ナイトメア』が住んでいたという、いわく付きの館でねぇ」
あーあ……廃墟で事故死するの、噂やらなんやらで「呪い」が勝手に強まっちゃうやつじゃん……。
実際は、廃墟そのものが物理的に危険だったってパターンが多いのに。しかも足元や頭上が見えにくい夜に行くとか、余計に危ないし……。
「カバンの中に調査中の遺物コレクションがあったから、それに引き寄せられて他の『怪異』も続々と迷い込んで来てしまったんだ……ヒヒッ」
ええー……。
それ、「ヒヒッ」で済まないんですが……?
「……で、最後に来た『怪異』がツワモノでね。せっかく集まった『怪異』達がどんどん倒されてしまった。まあジブンは楽しんで見てたんだけどね。ヒヒヒッ」
そ、それが、例の「主人公」って……こと……?
てかそれ、ニコラスルートじゃん……!! きっちり自らヒント与えて倒させてるじゃん!!
「で、ちょうどその時期に、何でかわかんないけど死と生の
「『笑っちゃった』……ならまだ分かるけど、爆笑しないで?」
ほんとに人の不幸が好きなんだね、この人……いや神……?
……って、サラッと流されたけど、時間軸巻き戻したとかヤバいこと言ってない!? 性格悪くてもちゃんと神なんだね!?
「そしてジブンは考えた」
ニコラスは腕を組み、ニヤニヤ笑いをもう一段階ぐらい引き上げる。
どう表現すべきかな。ニマニマ? ニタニタ? どちらにせよ、楽しそうだね……。
「これ……何かの形で記録したら面白くない? ……ってね! ヒヒヒッ」
えっ、まさか……
「それでゲーム作っちゃったの!?」
「ヒヒッ、まさかぁ。ジブンが作ったのは『企画書』だよ」
普通にすごいんですが!?
ほんとに多才だね、この人……!!
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