13.「レディ・ナイトメア」
「まあ……そこまで言うなら、今日のところは引き下がっておこうか」
アルバートは穏やかな笑みを浮かべ、あくまで紳士然とした態度で語る。
「今日のところは」……ってことは、また口説きに来るつもりなの、こいつ……
「でも……本当は、君だって理解しているはずだよ」
底知れない
……ああ。その色合いには、嫌というほど見覚えがある。
「君と、僕は同類だ」
彼は被害者を
必ず特定の箇所が欠損した死体と、現場に残された奇妙な文章は、連日世間を騒がせることとなる。
最期は警官に取り囲まれ、
手口は違う。求めたものも違う。性別も、享年も、生きた時代も、何もかもが違う。
……けれど。
たった一つだけ、彼と
アルバートは、娼婦であった生母および娼館の支配人から、
***
「レディ・ナイトメア」の私室の前に立つ。
一歩足を踏み入れれば、
……ゴードンは、そろそろ手入れを終えた頃かな。
中には入らず、
目を背けていた影が、わたしの頭の中で
──愚かなこと
……今はまだ、向き合う時じゃない。
──逃げられませんわよ
頭の中で、嘲笑が響く。
──
わたくしも、貴女も──
「ヒヒッ。どうしたどうした? 入ればいいじゃないか」
背後からの声に、ハッと振り返る。
半透明の男が、ゆらゆらと
「怖い? それとも、
「……何の、ことですの」
「灰色の音楽家」は、グレーの目を細め、ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべている。
「ヒヒヒッ……キミは、『レディ・ナイトメア』だ。それ以外の何者でもないのさ」
彼が手を
そのまま
「
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます