如月弥生、召喚!(KAC2023⑥アンラッキー7)

風鈴

如月弥生は、召喚する!

 如月弥生きさらぎやよいは、夕食の焼肉に満足すると、自室で赤い魔導書(以下赤本)を開き、それを読み解いていく。


あるじ~、肉、肉、肉、肉………』


『うるさい!』


『ケチケチケチケチ………』


 ――――念話を拒否する方法は無いモノか?


 弥生は、先ずはそんな実際的な方法が書かれていないかを探した。


 赤本の文字は…な文字なのだが、バブ(主と言って念話してくる、しつこいヤツ)を召喚して以来、弥生は何となく目で追っていくと、何となく理解できるようになった。

 その何となくと言うのは、説明するのが難しいので略すが、原語の読みが脳内に流れ込むと同時にそれに対応する日本語がアウトプットされるという感じだ。


 そうして弥生は読み進めるうちに、幸運で不運な妖精アンナという項目があった。

 この赤本は、説明をするために、物語形式をとっている。

 その物語は不幸な身の上の少女期から始まり、やがて妖艶な美女となってからは多くの男たちを翻弄し、最後は自慢の美貌が天然痘で台無しとなり無惨な死に方をするというものだった。


 ――――これって、なんか知ってるような?アンナかあ?


 弥生はちょっと興味を持ったので、アンナという文字に指を当てて念じた。


 しかし、何も起こらない。


 ――――念じ方なのかな?あの時は呼び出そうとは思わなかったわね。ただ、何が書いてあるのかを知りたいと・・知りたい?


 ――――わたし、アナタのことが知りたいの!教えて頂戴!



 しかし、何も起こらない。


『仕方が無いか。バブ、教えなさい!』

『にくにく、お肉~!』

『後であげるから、早くして!』



 突如、文字が変化し、そして金色に輝くと消えた!


「な、な・・・・」



『ふ~~ん、アナタが私の主?』


『あなた、ナナって言うのね!わかったわ、小説ナナの主人公よね?実話だったの?』


『コイツは、アンラッキーナナ(7)だ!主、気を付けろよ!』


『ふん!失礼ね!』


 ――――大丈夫、なのかな?




 了

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