02
「あ、ねぇねぇ、空君居る」
「いつ見ても、本当にカッコイイよねぇ。あれで女子とか、反則」
「ねー。女子なんて嘘みたい」
「その辺の男子より素敵だもんね」
「え、王子どこ? 何してるの?」
「何かぁー、桜庭君の髪の毛弄ってる、みたいな?」
「あー、桜庭ってあの、王子の下僕みたいなヤツ? 髪すげー長いよね。女でもあそこまで長く伸ばしてるの、滅多に居ねーっつの」
「桜庭も単体で見ると悪くないんだけどさ、しょっちゅう王子と一緒に居るから、どうしても比べちゃうよね」
「桜庭君って大きいしちょっと強面だもんね。いっつもつまんなさそーな仏頂面だし。空君の愛想の良さを、少しは見習えば良いのに」
「それにしても、空君って桜庭君とよく一緒に居るよね。そんなに仲良いの?」
「知らないの? 王子と桜庭、幼馴染なんだよ?」
「マジー?」
「似っ合わねー!」
「王子と野獣じゃん!」
「そこは美女と野獣っしょ」
「空君、あんなカッコイイのに女子だなんて卑怯だよねー…」
「ねー」
「空君にだったら抱かれたい!」
「ちょ、聞こえるよー」
「ワザとに決まってんじゃーん」
「ギャハハハハ!」
空さんに髪を弄られている間、廊下から響く姦しい女子の声。空さんに愛想を振りまいてほしくて、聞こえよがしなアピール。
っていうか、空さんに「小鳥の声が聴こえたと思ったら、こんなところで可愛く囀ってたのかい? 私も混ぜてほしいな」って感じの少女漫画系ヒーローみたいな事言われたいなら、もっと言葉遣いとか喋る内容気を付けようぜ?
それにしても俺って単体で見るとそんな悪くないのか……と新たな事実を知った気分だが、まぁどうせお世辞っていうか、俺身長は高いからな。背の高い男ってのは顔は抜きにしてもそれだけで何か見栄えが良いっていうか、女の好感度上がるからな。仁王像をちゃんと自覚してる俺は迂闊に自惚れたりなんかしないぜ。
それにしても。「空君」か。名前呼びしてるって事は、結構ガチ勢の空さんクラスタだな。
校内で一番人気のある空さんを慕う派閥は幾つかあるけど、そん中でも割と過激派で空さんの王子様っぷりを誰よりも真っ先に自分が享受したい、って感じのタイプだ。んー……、どうすっかなぁ~。
空さんは男にとっても女にとっても、一貫して高嶺の花で居てもらわないと困る。手が届かない存在って事、ちゃんと判ってくれないと。あんな風に、勘違いする輩が増えると俺が面倒くさいんだよな。
「皆のもの」って事は、イコール「誰のものでもない」って意味だし。空さんは皆の王子様であって、誰の王子様でもないんだって、皆にはそう思ってて貰わないと。……だって空さんは、友花里の王子様なんだもんなー。
「出来たぞ、元春」
どうやってあの手合いを空さんから一線引かせるか、と考えていたら急に意識が引き戻される。
結ばれて一本の縄みたいになった俺の毛先を最後に撫でた空さんの満足そうな声。やっと手慰みから解放された。何されたんだ、俺の頭。
「上手に出来てるだろう」
ふふん、と得意げな空さんが俺にやった三つ編みをえらく誇っている。そんな上手に出来ちゃったの、空さん。マジか。俺の無駄に長い髪、三つ編みにされちゃったのかよー…。
俺みたいにガタイの良い男が長髪にしてるってだけでも「いたたたた」なのに、三つ編みって。これが華奢な美少年なら絵になるんだろうけど、残念ながらちょっと凄みのある顔立ちの強面無口野郎が三つ編みにしたところで可愛げゼロ。
寧ろアレだろ。自分で柱とか投げて、その上にふわっと乗って飛行する世界一の殺し屋みたいな感じだろ。俺は暗殺者どころかただの花屋の息子で学生だけど。
「じゃあ帰るか」
「今日はもう帰るんですか?」
いつも放課後はもう少し空さんの王子様を堪能したい女子に囲まれているのに。
「今日は友花里ちゃんのお見舞いに行く」
「友花里の…」
それは有難い。友花里は空さんが来ると喜ぶから。
「差し入れも早めに食べないといけないし」
「…腹壊さないように気を付けて下さいね」
この人、どんなに不味そうな見た目でも差し入れは王子様スマイルで受け取って食べきっちゃうからな。誰も見てないところではどういう顔で食べてるのか知らないけど。
「お前の可愛い三つ編みも見てもらおう」
「……」
俺の外見だと三つ編みにしたくらいじゃ「可愛い」にならねーと思うんだけど。王子様ってのも大変だよな、俺にまでそういうリップサービスしなくて良いんだけどマジで。
寧ろ俺の髪型、妹に見せたくて見舞いに行くとか言ったのか。空さんってやっぱどっかおかしいよな……。
俺は自分と空さんのバッグを手にして、廊下を軽やかな足取りで進む空さんの後ろを着いて行く。空さんが手ぶらなのはいつもの事だ。
通り際、姦しいさっきの集団から「あ、空くーん!」「ねぇねぇ、今日はお話しないの?」「あたし達、暇なんだけどー」と次々声を掛けられてるけど。
「ゴメンね、今から一番大好きなお姫様に会いに行くんだ」
煌めく王子様スマイルで言い放ったせいで、彼女達を無駄に殺気立たせていた。うぉ怖。
俺が腹の中で画策するまでもなく、空さん自身が無自覚に彼女達へ最大の牽制を仕向けたので良しとする。
空さんは皆のものだから。アンタらのじゃねーから。実は友花里の王子様だから。そこんとこはき違えんなよ、隙あらば空さんにじゃれ付きたがるメス猫共が。
心で口の悪い事を思っていたら下駄箱に到着していた。俺はさっと空さんの前に移動して空さんの靴を取り出し、上履きのまま簀の子から出て跪く。
「どうぞ」
空さんは慣れたように上履きを脱ぎ、それを戻しもしないで当然のように俺の肩に軽く手を置き、用意した靴に足を差し入れた。跪いたまま、緩んだ靴紐を結ぶ。
俺は毎日こうやって下駄箱で空さんに靴を履かせ、または脱がせる。王子様をやっている空さんの従者をやるというのは、こういう事だ。
このやり取りもかれこれ何年になるだろう。中学に入学した頃も、高校に入学した頃も、俺と空さんのこうした時代錯誤とも言うべき主従めいたやり取りに最初は皆驚くし、校内を駆け巡る噂にもなるけれど、一ヶ月も経てば「あ、またやってる」程度の扱いになる。そりゃ、毎日見慣れていればな。
俺は空さんの上履きを持ちながら簀の子に上がり、空さんの上履きをしまう。それからやっと俺の番。
当たり前だけど、空さんは俺を待つなんてしない。俺が自分の靴を履いてる間にもスタスタと先を進む。
振り向かない背中は凛として、俺が追ってくる事を当然と言わんばかりの信頼に満ちている。
「あっ、空さん!」
パジャマか浴衣が普段着の妹――友花里はいつものようにベッドの上が定位置だ。空さん大好きな友花里は、空さんが見舞いに付き合ってくれると声のトーンが高くなる。可愛いけど複雑だ。
浴衣も寝間着的な意味が強い。一枚で済むし軽いし帯巻くだけで良いから楽なんだと。
チェック柄のパジャマ姿で女の子座りとかあざとい。友花里あざと可愛い。俺がシスコンじゃなくて良かったよなマジで。
シスコンだったら今頃、「俺以外のヤツにそんな可愛いポーズ見せてんじゃねぇ! 襲われてーのか!」とか理不尽な説教かましてるところだわ。心臓がか弱い妹に過激な独占欲向けて怒鳴ってるところだわ。俺がシスコンの域に達しない程度のお兄ちゃんで本当に良かったよな。小児科に友花里と仲良い男子が居ても、べ、別に、気になったりなんか、してねーしっ…?
どうやら塗り絵をやっていたらしい。ベッドテーブルに缶ケースの色鉛筆と広げられた塗り絵本。何だっけ、コロリアージュ、っつーんだったか?
絵がメチャクチャ細かくて塗る色も規制がないって感じの絵柄で、日中ベッドの上で過ごす事が多い友花里に、流行ってるからって半年前試しに一冊買って渡したら、結構好きな感じの遊びだったみたいだ。
入院してるとどうしたって手作業の遊びが中心になってくるし、心臓の病気で色々制限が掛かってるから、友花里に趣味が増えるのは俺も嬉しい。
「あ、お兄ちゃん。…三つ編みしてるの? 珍しいね」
「否、これは空さんが」
「友花里ちゃんどう? 元春、可愛くない?」
「……。お兄ちゃん可愛くしたいの? 三つ編みよりいつもの武士っぽいポニーテールの方が似合ってると思うけどなぁ。でも三つ編み、可愛いね」
友花里は歳に似合わぬ母性を感じさせるほどの慈愛に満ちた微笑を浮かべた。
明らかに嘘だろう妹の優しさが辛い。無理して「可愛い」って言ってくれなくても良いから! 別に傷付いたりなんかしねーし……!
心の中で言い訳がましい事を思いつつ、俺は話題を変えようと咄嗟に塗り絵の本を見た。
所狭しと線が密集した繊細な図案は途中まで色が塗られ、葉っぱが紫だったり鶏のとさかが緑だったり、中々前衛的な妹のセンス…。でも絵柄が幻想的だからか、違和感があまりないのが凄ェ。
そして開かれたページに偏りがある。
「そろそろその本終わりそうだな」
「うん。とうとう後少しで終わっちゃいそう。ここまで塗るのに半年掛かっちゃったよー」
「友花里ちゃん、折り紙はもう飽きちゃったの?」
「今はお休み。でも偶に折るよー。最近は折り紙も可愛いのいっぱいあって凄いね。百円均一って言うんだっけ? お兄ちゃんが買ってきてくれたヤツ」
「百均は凄ェよなぁ。俺、消耗品とかは大抵あそこで買うし」
消しゴムとか。最近は結構良い品質のが増えてるよな。
「塗り絵も、また次の本買ってきてやるから」
「うん。有難う。えっとねー、次のはねー、本じゃなくっても良いよ」
「?」
本じゃなくても良い、とは。
「インターネットとかで無料配布になってる図案をコピーしてとかそういう意味?」
そうか! 空さんの意見が合ってる気がする。
確かにそっちの方が安上がりで、俺としても有難いけど。本の方が全ページ制覇した時、「出来上がったぞー!」っていう達成感があって良くね? だって本がそのまま自分の塗り絵画集っぽくなる訳だし。
「うん、そういうので良い。それをね、スケッチブックみたいな画用紙にコピーしてほしいの。本も嬉しいけどね、やっぱり高そうだし。お兄ちゃん、無理してない?」
「そういうのは気を遣うな」
兄として、ここはやせ我慢すべきところだろ。次も本で買うぞ、うん。……こんだけブームなら、百均とかにも置いてねーかな。
「綺麗に塗ってあるね」
「そうでしょ~。最初はただ単純に一色塗りしてただけなんだけど、それじゃ勿体ないな、って。グラデとか、一枚絵を色で分割してみたりとか」
「へぇ~。気分転換とかストレス解消に良いって聞くし、ちょっとやってみようかなぁ」
「空さんのセンス、楽しみ! 出来たら見せてね」
「勿論。友花里ちゃんに一番に見せるよ」
空さんって友花里にはいつにも増してキラキラオーラが凄いよな。王子様覚醒! みたいな。気のせいだと毎回思う事にしてるけど、俺の妹を本気で落とそうとしてないか…!?
空さんに褒められて嬉しそうな友花里の笑顔が可愛いあまり、ちょっと心のキャメラに収めたい気分。王子様系美少年(正しくは美少女)と和風美幼女で絵になる光景。否だって、友花里は俺に似ず可愛いからな。俺に似なくて良かった良かった。
色鉛筆も新しいの、買ってやるべきかな。グラデ塗りをマスターしたとか言ってたから、24色だとこの先限度があるかもしれん。倍の色数あれば良いのか? 塗り絵の世界も奥が深そうだから判んねーわ。
「あ、そうだお兄ちゃん」
「ん?」
「結構髪の毛伸びてきちゃったから、今度切ってね」
「……、おう」
ほんの少し小首を傾げてお願いしてくる友花里の可愛さよ。サラリ、と俺と同じく真っ直ぐな黒髪が、まろい稜線を描く頬の輪郭を縁取る。
上目使いにちょっと小首を傾げるなんて、いつもなら兄心がキュンとする仕草だが、俺の返答がやや乱れたのは、妹の愛くるしさにトキめいたからとかそういう理由ではない。だって俺、シスコンじゃねーし。
俺と違ってどこもかしこも白くて柔らかそうで華奢で傷付き易そうに見える友花里は、本当に頑健で丈夫な俺と同じ胎から産まれたのかと偶に不思議に思えてくるくらい壊れ物めいて見える。
友花里の髪は長くない。ほぼ病院で生活しているような友花里は、「髪なんて長いと色々面倒」というサッパリした理由でずっとおかっぱだ。俺なんてケツまであるのにな。
俺に「髪の毛伸ばせ」なんて気紛れみたいな命令したのは空さんだけど、色素の薄いウェーブ髪が気に入らない空さん自身の代替行為ってだけじゃなくて、友花里の代わりに伸ばせよ、ってのもあんのかな、って思うようになったのは随分と前だ。俺と友花里は仁王像と和風美幼女で全然似てねーけど、兄妹だから髪質だけは似てる。真っ直ぐで真っ黒。
完璧に王子様をやる為に髪を伸ばさない空さんと、入院生活で長い髪は色々と面倒な事が多いって理由で伸ばさない友花里の代わり。……それがよりによって俺、っていうのもアレだけど。
俺がなぁ…せめてもうちょっと華奢な、長髪が似合う美少年だったらなぁ…。マジで俺の外見だと、長髪の無駄遣い(?)じゃね?
本当は一度くらい髪を長く伸ばしてみたいと思ってるだろう友花里は、そんな本心をおくびに出さず、伸びてきたという前髪を大袈裟なくらい鬱陶しそうに払い、念を押すように「鋏忘れないでね」と言う。そんな妹に、俺は神妙な顔で頷くしか出来ない。
何かもっとこう、スマートに「気付いてねぇよ」って感じでサラリと流せたら良いのに。そんな簡単な事すら咄嗟に出来ない、本当に無骨で不器用なお兄ちゃんでゴメンな。
心臓が弱くてずっと入院している友花里は、髪が長いと洗髪だけでも大変で時間が掛かって体力を削ると判っているから、「伸ばしてみようかな」なんて欠片でも言った試しはないけど。
そうなんだよ…、俺は髪が凄ェ長いから体調悪い時に風呂入ると実感するけど、そういう時の洗髪ってかなりしんどいんだよな。長いと時間も掛かるし。
俺の髪を弄るのが好きなのは、何も空さんだけじゃない。友花里もしょっちゅう手櫛で触りたがる。こんなガタイの良い可愛げのない男の髪の毛なんかを、まるで宝物のように。
次来る時は塗り絵本と色鉛筆の他に、新聞紙と鋏も持って来ないと。
友花里の髪を切るのは、いつしか俺の役目になっていた。俺なんかで良いのかと思うけど、何故か友花里は毎回母さんじゃなくて俺に頼む。
俺はそんなに手先が器用じゃない。センスだってあまりない。だからもっとこう…本当はお洒落? な感じ? のボブカットにしてやりたいのに、何度挑戦してみても結局ぱっつん前髪の垢ぬけないおかっぱ頭になってしまう。友花里はそれで良いのか。俺はきっと、今度もおかっぱにしちゃうんだぞ。
……否、今の「だぞ」はねーな。ねーわ。俺が遣っちゃいかん語尾だ。「〇〇なんだぞ」っていうちょっと可愛い語尾を遣って良いのは、某野球漫画に出てくる双子兄弟の幼馴染、新体操が得意なマネージャーだけだもんな。何てったって永遠のヒロインなんだぞ。
「空さん。今日は有難う御座いました」
「別に構わない。お前、毎回律儀だな」
「空さんが来てくれると、友花里が喜ぶので…」
「そりゃ、友花里ちゃんは誰かさんと違って素直で可愛いし。大好きだからな、当然だ」
「……」
病院からの帰り道。空さんと俺は少し寄り道して本屋に向かっていた。その「誰かさん」って俺の事ですか。…俺の事、なんだろうなぁ…。
俺は百均好きだけど、空さんはあまりそういう場所に縁がないんだよな。最初から選択肢に入ってないっつーか。
お金持ちのご子息……おっと間違えた、ご息女だからかな。文房具一つとっても何かこう、ブランドとか拘りがある感じ。シャーペンは〇〇社の×××が好き、とか。ノートは△△のリングノートの方眼紙、とか。流石拘りの強いB型人間、空さん…。
俺なんてシャーペンでもボールペンでも書けりゃ何だって良いし、ノートはA罫でもB罫でもC罫でもあったら使う、ってくらい拘りのなさだ。空さんと俺、チグハグ過ぎる。本当に俺達、この年齢になっても付き合いが続いている幼馴染同士かよ、って我ながら思うが。
「欲しい本でもあるんですか?」
「塗り絵に決まってるだろ。元春は何を聞いてたんだ」
社交辞令みたいなアレかと思ってたけど、本当に友花里と話題を広げる為だけにコロリアージュやってくれるのか。空さん、結構多忙なのにな。
有難いけど、何で空さんってこんなに友花里に対して優しいっつーか甘々なんだろ…。否、親切にしてくれるのは兄としても嬉しいけど。
本屋のすぐ近くに百均もあるので、俺は試しに百均から物色してみようとそっちに進む。駄目元だったんだけど本当にあった! マジか…大人の塗り絵ブームを甘く見てたぜ。
問題は色鉛筆だよなぁ…。24色だと物足りない、とか友花里の口から聞いた事ないから現状維持でも良さそうなんだけど、今月はとうとう友花里の記念すべき運命の十歳を迎える誕生日が控えている訳で……。
奮発するか? 60色くらいのドーンと買っちゃうか? 小学生女児への誕プレとしては色鉛筆ってのは年齢的にも合ってて妥当かなー、って思うんだけど、子供っぽ過ぎ?
女の子ってのは難しい生き物だからな…。いつも王子様もかくやなイケメンなせいで、俺も時々幼馴染の性別を「空さん」だと勘違っちゃう事あるんだけど、あの人ちゃんと女だし、空さんに相談してみるか。
百均で友花里への塗り絵二冊と、自分用にシャープの芯を買って本屋へ急いだら、空さんは女性の店員相手にイケメンオーラを振りまきながら塗り絵コーナーで色々質問していた。
店員さん、顔がウットリしてる…。空さんって絶対判っててやってるよなぁアレ……。あっ、ちょ、オイ、店員さん、何でそこで「当店の扱う書籍について何かありましたら、塗り絵以外の事でも、また私がご相談に乗りますね」って名刺を取り出した…だと…!?
アルバイトじゃなくて店長か! それは駄目だろ! ご法度だろ! 職権乱用だろ!
「……っ空さん、お待たせしました!」
ちょっと目を離すとすぐこれだ。惚れても良いけど繋がりを持とうなんざ百年早ェっつーの。空さんも友花里の前以外でなら、ちったー王子様を休憩してくれませんかね。
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