引用文献

*1:倉田百三『出家とその弟子』

大正教養主義の代名詞。「運命がお前を育てているのだよ。ただ何事も一すじの心で真面目にやれ」の台詞にみられるように、100年の時を越えても色褪せぬひたむきさと純真さを掴み取れる。明治のひたむきさと情熱の残滓、大正時代前半の明るさと大衆性、若き百三の純な気持ちと真摯さ…そういったものの奇跡的な融合体が、百載の後も新しき読者を得、彼らの心を惹きつけるんだなあ。

https://javalousty.hatenablog.com/entry/52215835


*2:Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

 知る人ぞ知る、Web上のオアシス。来る人拒まず、去る人追わず。

https://javalousty.hatenablog.com/

*3:『ブッダのことば―スッタニパータ』

仏教最古の聖典。ゴータマさん、道場破りないし悩み相談に来た訪問者をあざやかに対処していく。生きとし生けるものへの愛、因果、輪廻、無常、分別・五根・執着の否定、などを説く、厳しくもやさしい教えなんですなあ。

https://javalousty.hatenablog.com/entry/52215794


*4:辻邦生『西行花伝』

西行含む関係者へのインタビューを重ねて西行の生涯を浮き上がらせていく方式。天皇と上皇、貴族と貴族、武士と武士、大領主と小領主、時代の無数の軋みが新たな時代の扉を叩いた。運命に導かれるままに源平争乱の怒涛の時代を生きた彼は、時空も現実をも超越する歌の力を訴え続けた。運命の理不尽さとそれを俯瞰して客体化する歌の力。同じ主題を何度も塗り重ねていく手法は辻邦生らしい。

https://javalousty.hatenablog.com/entry/2020/10/02/080420


*5:『第二集 きけ わだつみのこえ―日本戦没学生の手記』

当時のエリートたちが理不尽で醜悪な現実に対し、いかに自己と向き合い、いかに自己を位置づけようとしたかの精神的苦闘の記憶。明朗と悲壮、韜晦と諦観がないまぜになった血のインクに君は何を見るか。

https://javalousty.hatenablog.com/entry/52216250


*6辻邦生『背教者ユリアヌス』

4世紀半ばのローマ帝国はコンスタンティヌス大帝の治世の中、つかの間の繁栄を享受していた。が、彼の死とともにローマ帝国に嵐が巻き起こる。そんな時代を生きた、内向的で学者肌の皇族の生き残り・ユリアヌスの大河ドラマ。不遇な幼年期と学業に精励する少年期。皇帝になる姿が全く想像できないが、異世界転生モノもびっくりの軍事や行政の才を見せつける。しつこいくらいのディテールの描写が作品世界のリアリテを高めている。

https://javalousty.hatenablog.com/entry/2020/08/12/220015


*7:『戦没学徒 林尹夫日記 完全版/わがいのち月明に燃ゆ』

著者の尹夫、古き良き教養主義時代の青年といった感じ。学問への憧憬とか、自分を鼓舞する言葉とか、異性(同性)への鬱屈した想いとか、能力に慄然たる開きはあるにしろ、自分を見ているような気持になった…。やや偏屈な男だったようだが学問に対する真面目さは人一倍。運命に押しつぶされながらも、強靭な意志を持ち続けノートに生きた証を残した。

https://javalousty.hatenablog.com/entry/2020/11/15/220218

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