エピローグ

 ネオ人類の幼児らしき人影が現れ、苔むした古い石碑に触れている。親らしき人影がやがて現れ、幼児の頭を撫でたあと石碑を指さして優しげな表情で何かを語っている。幼児はただじっと石碑を見つめている。やがて親に手を引かれ幼児は歩き出す。幼児の瞳は明日を向いていた。かつてこの銀河に存在した旧人類。かつて存在した帝国。かつて存在した壮大な意志。そういったものを確かに感じ取っていたのだ。

その墓碑にはこう刻まれていた。

「運命がお前を育てているのだよ。ただ何事も一すじの心で真面目にやれ。ひねくれたり、ごまかしたり、自分を欺いたりしないで、自分の心の願いに忠実に従え。それだけ心得ていればよいのだ」*1

訪れる人もまばらな墓碑には薫風が吹き、足元の新芽が心地よさそうになびいている。


                              <第一部 完>

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