<サム・ジーヴァ帝国興亡史> ~地球統一を成し遂げた朕が【うめおま】しすぎた結果、 人類が滅びました(๑╹ω╹๑ )~

@Javalousty

プロローグ

 西暦21XX年、太陽系第三惑星・地球。太陽の光を受けて青く光る惑星のようすはいつ見ても美しい。だが、その大気の中は混乱のただ中にあった。46億年という時間からすれば一瞬ともいえる短い間の繁栄を謳歌した人類は、いまや滅亡の淵に立っていた。


 その原因となったのは、21世紀末に年に天才科学者・モドゥーセ3世が発明した夢の座薬「モ・ドゥーセ」。服用した者の老化を停止させ、寿命を120年まで伸ばすこの座薬は、驚くべき安値で感動をもって世界中に広まった。世界的な出生率低下にともない、世界の人口は2059年に110億人でピークを打った後は怖ろしい速度で減少が始まっており、人々は死をほぼ克服することでその危機に対抗しようとしたのだ。たとえ、それが根本的な可決にならなかったとしても。その減少速度はしばしば人類に猛威を振るってきた感染症をも超えるものであった!


 夢の座薬モ・ドゥーセが一年もしないうちに世界人口のほとんどに行きわたったころ、世界中の人間がその恐ろしい副作用に気づき始めた。人類に新しい生命が全くと言っていいほど誕生しなくなったのだ。服用者の出生率は実に1/1億。しかし、永遠に近い命を手に入れた人々は焦らなかった。その数が数十年かけて確実に減っていく光景を目の当たりにするまでは…。その危険性を身に沁みて感じたときにはすでに遅く、数少ない未服用者をめぐって争乱が繰り返された。強制移住や人身売買が横行した世界は近代以前の獰猛さを取り戻した。人類の脳の容量は数万年変わらず、愚かなままであった。


 21XX年、120年の命を全うした人々が次々に世を去っていき、世界人口は3.6億人を割りつつあったころ、サムは、かつて日本国と呼ばれていた列島地域のとある地下室でひそかに産声を上げた。日本国の某王朝はすでに断絶し、ユーラシア大陸を統べるドン・ドン=タイーヤ帝国の支配下となって久しい。壊滅的な人口減少による社会の崩壊に加え、帝国の苛斂誅求に絶望していた人々は、この百年ぶりの子供の誕生に歓喜。この子供を旗印として祭り上げ、独立運動の象徴とすべく、特務機関オルゾイを秘密裏に結成。帝国への反抗を水面下で進めていた…。

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